紹介患者さんの治療。

主訴は、

鼻詰まりがあり、耳鼻科で歯科治療が必要だと言われたので紹介された

であった。

歯内療法学的検査(2024.5.21)

#12 Cold+1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#13 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold+4/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

患歯は打診痛がある#13が疑わしい。

それ以外の歯は生活歯だ。それらは患歯の可能性は低いと言えるだろう。

が、画像診断も必要だ。

PA(2024.5.21)

#12,14,15に歯髄に近接するう蝕処置歯が、#13に既根管治療歯がある。

これらが疑わしい。

が、検査では冷水痛がある。

それらは患歯の可能性は低いだろう。

CBCTを撮影した。

CBCT(2024.5.21)

#13

上顎洞にApexが入り込んでいる#13が怪しい。

拡大すると、

#13のApexの根尖部の病変がSinus に入り込んでいる絵だ。

が、

根尖部は石灰化しており、

太く拡大形成済みである。

ということは…

Apicoectomyが必要だ。

その際は、

CEJよりも12.5mm下方にApexが存在し、

当該部分を2.6mm削合すると#13のApexが顔をだす。

ここから3mm下方で切断しようとすれば、頬側の皮質骨を2.4mm削合し、

歯根を3mmの幅削合する必要がある。

これが難しいことだろうか?

と言えば、私には容易だ。

ということで、同日にApicoectomyへ移行した。

歯内療法学的診断(2024.5.21)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

#13 Apicoectomy(2025.5.21)

CEJより12.5mm下方の位置を見定め、Osteotomyを行う。

Apexは出てくるだろうか?

Apexが顔を出した。

ここから3mm切断する。

Apex探しの後のRoot resection作業で骨窩洞が大きくなってしまった…

これは術後の治癒のスピードに影響を与える可能性があるだろう…

逆根管形成した。

逆根管充填した。

Lid TechniqueやSealerのみの逆根充であれば、Racelletを使用しなくても止血をコントロールするだけで済むことがこの動画でわかるだろう。

PA,CBCTを撮影した。

問題はないことがわかる。

縫合して終了した。

1週間後に抜糸に来院された。

糸は1箇所しか残っていなかった。

が、それに問題はそれほどない。勝手に抜ける時もあるのだ。

この予後は次回のブログ記事でご紹介したい。