一昨日はBasic Courseの最終回だったが、Super EBAによる逆根管充填の動画を見せることができなかった。
ということで昨日のセミナー代わりにその模様をここでアップしよう(受講生には動画を丸ごと既に送信しています。)
Super EBAはかつて、逆根管充填の切り札として使用されていた。
私はApicoectomyで一度だけ使用したことがある。
それはその歯科医院にMTAはあったが、MTAブロックがなかったためだ。
その際、院長にSuper EBAってありますかね?と聞いたら何故か奇跡的にそれがあったのである。
以下が臨床的な特徴になる。
使用するとわかるがこのようにべちゃっとはみ出る。
しかし、タービンで研磨してあげると以下のように綺麗になる。
扱いやすく、washoutすることが少ない。
また封鎖性に優れている。
ex.vivoの実験では、MTAセメントと封鎖性は変わらない。
また生体親和性もMTAに次いで高い。
ということで臨床でよく利用されていた、逆根充材といえばSuper EBAという時代もあったのだ。
しかしその風向きはMTAセメントが出てから一気に変わってしまった。
MTAが初めて世に出た論文では、その封鎖性はSuper EBAと比べても遥かに高いことが謳われている。
これが初めてのMTA論文である。
Torabinejadという人物はアメリカではよく知られている。
かなり変わったお方である。
生活歯髄療法では止血もままならず全てMTAで充填し2日後、小児の患者のその歯にアマルガムを充填したり、眼下窩孔に麻酔をするときには口腔外から目の下に麻酔を直接食らわせる。
外科治療時にはHockey stick状に縦切開を入れろとテキストには書いてあるのに、思いっきり粘膜から垂直に歯頚部まで切開を入れている。
私が聞いた話、彼は日曜の深夜でも大学院生に電話をかけて実験を手伝わさせるという。
それで私の1個下の友人は、ロマリンダに行かずUSCのエンドに入学した。
いわゆる、変わった人なのである。
風貌は若き日のアンドレザジャイアントにしか見えない…
このTorabinejadの父親がイランで大工をしていて子供の彼はそれをいつか歯科治療に応用できないか?と考えていたそうだ。
その知恵の結集がMTAなのだ。
が、MTAブロックがなかったため私はSuper EBAを使用する羽目になってしまった。
ということで初診時のPAは以下になる。(2016.9.23)
それから問題が生じたため、バイト先の先生により再根管治療が行われた。
その際のPAは以下のようになった。(2016.12.8)
そしてその後、Sinus tractが発生した。(2017.2.13)
ということで外科治療になったのである。(2017.4.24)
その際の動画のスクリーンショットが以下になる。
そしていきなり硬化する。
でも焦らなくていい。そのままバーで研磨すればいいからだ。
そしてこの患者さんの予後は以下のようになった。
かなりの治癒傾向を示している。(2018.1.27)
9ヶ月後まで経過観察していたがこの後、この患者さんは忽然と姿をくらましたのである…
今はどうなっているかわからないが、無事にこの歯が機能していることを願ってやまない。