紹介患者さんの治療。

主訴は、

上の前歯の被せ物の歯茎が腫れて痛い…

である。

歯内療法学的検査(2025.2.26)

☆この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

患者さんは、

費用がかかった#8のPFMを除去したくない

という。

ということは…

除冠せずのApicoectomyとなる。

その予後は、短期ではあるが高い(2年で90%)ことが知られている。

Jonasson 2017 Retrograde root canal treatment: a prospective case series

また、当歯科医院のCaseで似たような治療があったのも事実だ。

術前に喪失していた皮質骨まで回復〜#9 Apicoectomy 7yrリコール

文献では2年で90%の成功率だが、

上記のCaseは、7年経過しても安定している。

PA(2025.2.26)

#8は#9と比較して短い。

外部吸収だろうか??

CBCT(2025.2.26)

左右の同名歯を比較した。

#8は#9に対して2mm短かかった。

これは外部吸収で消失したのかもしれない。

いずれにしても、#8はこの部分から3mm削るとメタルポストコアにRetroprepが及びそうである。

したがって、1mmだけ切断してRetroprepすることにした。

その際は、CEJよりも11mm先にApexはあるが1mmだけ切断すると、

頬舌的に3.8mmだけ切断すればいい。

ちなみに、

Advanced Course 2025

に出席すると、

以上の絵を見ただけで、このケースが簡単か?難しいか?判断できるようになる。

また、このケースは、

このような形でApicoectomyすることになる。

これを以下のようにユニット横に貼り付けておかなければならないだろう。

はっ?いちいちそんなことする必要あるのか?というあなた。

あなたは、以上の情報を術中に頭に入れて置けるほど優秀な人間ですか?

私は、そういう優秀な人間でないので、このような絵を常に治療横に張って行わないと、Apicoectomyはできません。

またこのケースでは、

麻酔が早く切れてしまう上顎前歯で手早く外科を終わらせるには、Submarginal Flapが一般的である。組織に瘢痕は残るが、だ。

患者さんに聞くとそれは問題ないという。

術野に頬側の皮質骨は存在するので、Submarginal Flapで、Apicoectomyする

こととなった。

意味が、

???な方、

Advanced Course 2025

の1回目で、

“詳細”

をお話しします。

歯内療法学的診断(2025.2.26)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、同時にApicoectomyへ移行した。

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#8 Apicoectomy(2025.2.26)

Apexを確認し、1mmだけ切断した。

切断後は切断面がこのような形状になっているか?確認した。

メチレンブルーで染め出し、逆根管形成した。

問題はないと判断し、逆根管充填した。

PA, CBCTを撮影した。

問題はないと思われる。

縫合して終了した。

外科治療は10分で終了した。

縫合と同じ時間だ。

慣れてくるとここまでスピードが速くなる。

が、

これが、

米国歯内療法専門医の臨床力だ。

その辺のなんちゃって〜とは違うのだ。

さておき、次回は1年後である。

またその予後を報告したい。