紹介患者さんの治療。

主訴は、

右下奥歯、被せた歯が腫れた…

である。

#30 初診時検査(2024.6.19)

MB

ML

D

Radix

M根の根尖部に大きな病変がある。

そして、すでに根管形成が太くなされている。

このことから、

再根管治療でなく、Apicoectomyの適応症である

ということがわかる。

その際は、

CEJの10.5mm下方にApexがあり、

そこを3mm切断しようと思えば、5.6mmの切断幅がある。

MB,MLは近接しているのでイスムスの形成は問題なくできそうである。

が、

右下臼歯だ。

難易度は高い。

それは私が右利きだからだ。

私が左利きなら…右下は容易である。

またDにも根尖病変があるように見えるが、これはM根から由来しているのかもしれない。

それは誰にもわからない。

治癒しなければ、1年後に追加でApicoectomyが必要になるだろう。

歯内療法学的診断(2024.6.19)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、同日に治療へ移行した。


#30 M Apicoectomy(2024.6.19)

術後にPA, CBCTを撮影した。

外科治療をしているので歯槽骨の欠損が大きい。

が、この患者さんは歯周病でない。

ということは…治癒する余地がある。

ここから1年が経過した。

#30 M Apicoectomy 1yr recall(2025.6.23)

MB

ML

D

Radix

Apicoectomyすることで、術前の臨床症状は消失し、

D根も怪しかったが、外科をせずに治癒している。

やはり原因根はMだったのだ。

1年前の初診時と比較した。

Apicoectomyした部分は、

 

 

 

歯槽骨が再生した。

ということで経過観察も終診でいいだろう。

こういう治療をして何年持つのか?と質問されることが臨床でも、セミナーでもある。

これが何年持つか?は私にはわからない。

が、

術前の状態で抜歯し、インプラントをするよりも、Apicoectomyして歯槽骨が回復してからApicoectomyしたほうがその処置にとって有利であるのは論をまたないだろう。

そう。

歯内療法(外科)は、他の治療へ寄与しているのだ。

それこそが私が世に伝えたいことである。

長い間、お疲れ様でした。