紹介患者さんの治療。

主訴は、

被せた右上の前歯の歯茎が腫れて痛む…

である。

歯内療法学的検査(2024.12.23)

PA(2024.12.23)

根尖部というよりは、側方に病変があるようだ。

そして、メタルポストコアの先にGutta Percha Pointがない。

おそらく、ポストコアの形成でGutta Percha Pointがすべて取れたのだろう。

これでは…封鎖性がない。

根管をバーで削ってはいけないと毎年言っているが、毎年それ以上の歯科医師がポストコアをドリルで削っている。

CBCT(2024.12.23)

#8の頬側に皮質骨が健全に存在するので、 Submarginal FlapでApicoectomyすることにした。

その際は、

クラウンマージンよりも9mm下方に#8のApexがあり、そこを3mm削るには

4.9mmの幅径で切断する。

これは…

容易だ。

歯内療法学的診断(2024.12.23)

Pulp Dx: Previously initiated therapy

Periapical Dx:Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、同日治療へ移行した。

⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#8 Apicoectomy(2024.12.23)

マーカーで切開ラインを描かないとメスで切開ができない…

次がApex探しだが、上記動画の最後の時点でApexがどこにあるか?見える人には見えるのである。

Osteotomyし,Root resectionし, Retroprepし, Retrofillした。

術後にPA,CBCTを撮影した。

問題ないだろう。

縫合して終了した。

ここから6ヶ月が経過した。

#8 Apicoectomy 6M recall(2025.6.23)

手術後の瘢痕が目立つだろうか?

私には特別日常を妨げる何かがそこにあるとは思えない。

それよりは、術前に切開したと思しき#6,7,8にかけての根尖部分の瘢痕の方が目立つ。

なぜか?

以前切開した?Dr.が角化歯肉でなく、歯肉頬移行部に切開を入れて縫合が十二分にできなかったからだ。

 

術前の臨床症状、Sinus tractは消失した。

が、だ。

#8は根管口部を削りすぎだ。これでは歯牙は垂直に破折してしまう。

が、上顎前歯はそれほどパワーがかからない部分なので長く持つ余地はある。

初診時と比較した。

大きく問題が減少していることがわかる。

最終補綴もOKだ。

次回はさらに半年後である。

またその模様を報告したい。