以前の歯科医院での治療。(2018.7.23)
患者さんは歯周病専門医からの紹介であった。
主訴は左上の歯の違和感がある
であり、痛みはない。歯茎を抑えると違和感があるという。
歯内療法学的検査は以下になる。
#12 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(±), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
この#13のPlap.(+)が主訴を再現した。
PAは以下になる。
CBCTは以下になる。
既に根管充填されている歯牙の周囲の歯槽骨が高度に吸収されている。
ここから想像することは何だろうか?
垂直性歯根破折である。
それが#12,#13間の#13の近心~口蓋の歯質に存在する可能性がある。
外科治療時はそこを重点的に見なければならないだろう。
場合によってはApicoectomyからIntentional Replantationに変更することも患者さんには伝えた。
患者さんは治療に同意したが、
この患者さんは
骨粗相症の薬を飲んでおり、その後内科医で2018.8~10の3ヶ月間は骨粗相症の薬をStopするように指示されたものの、2018.11に患者さんから電話があり他の病気で入院することになったと聞かされたため、またしてもApicoectomyは延期された。
そしてこの患者さんが退院してから、改めて治療の内容の話をしてApicoectomyを行なったのが2019.2.14である。
私が倒れる1ヶ月前である。
その時の模様が以下になる。
近心にVRFがあり、治療はこれで終了となった。
抜歯すると以下のようにVRFが存在していることが明らかになっている。
その後、抜歯部位は歯周病専門医によってGBRが行われた。
3ヶ月後のCBCTは以下のようになる。
その後、CBCTであらかじめ判明していた#14の
近心根に穿孔が存在したため(上図参照)、
またDB根に根尖病変が存在したため、
また#14の補綴治療の予後を担保するため、
また、#13にインプラントを埋入するため術後のPeri-implantitisを予防したいため、
#14はDBのApicoectomyを行い、MBのRoot Amputationを行うこととなった。
ということでバイト先で#14のApicoectomyとMB根のRoot Amputationが行われた。(2019.12.9)
DBをApicoectomyしているので、下のPAは偏遠心から撮影している。
その後、#13にはインプラントが#14近心にはGBRが行われた。
私がApicoectomyした部分(#14のDB)も、良く治癒していると思われる。
その後、最終補綴が装着された。
その際のPAが以下になる。(2021.6.21)
ということで今日のこのブログで私が言いたかったことは何か?と言えば、
Root AmputationやGBRといった自分の専門外の処置は全て専門家(歯周病専門医)に任せた方がいいということである。
その範疇を超えて行うと痛いしっぺ返しを食らうことになるからだ。
俺ならできる!と色気を出さずに専門家に紹介するのが無難である。
餅は餅屋だからだ。
この症例が良い教訓になれば、と思う。
ちなみに治療を行なったのは、米国歯周病専門医で大分ペリオデンタルオフィス院長の岸本隆明先生。
大分で歯周病治療のみを自由診療で行なっている。