バイト先での治療。

患者さんは50代女性。

主訴は右下奥歯の痛み。

冷たいものは一切食べれないそうだ。

ということで、右下の歯内療法学的検査とPAを撮影した。


#29 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(ML3, L 4, その他の部位は不適合修復物が装着されており測定できず。)

#30 Cold N/A, Perc.(++), Palp.(-), BT(+), Perio Pocket(WNL), Mobility(MB3, その他の部位は歯頚部にCRが充填されておりそれが邪魔で正しい測定できず。)

#31 Cold+5/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(DB, ML 4mmその他の部位はWNL)


PAは以下になる。

歯内療法学的診断は以下になる。

#30 Pulp Dx: Pulp Necrosis, Periapical Dx: Symptomatic Apical Periodontitis

Recommended Tx: RCT+Core build up

ということでその日(2021.10.16)に治療が行われたのだが…

麻酔が全く効かなかった…

私がこの日にした麻酔の工程表は以下になる。

  1. IANB with 1:100,000 Epi Xylocaine+Long Buccal Injection 1CT
  2. Intra-ligamentary Injection×2回
  3. Intra-Osseous Injection×2回

が、麻酔が効かなかった…

と言うことで私は患者さんに予定を変更してリスケジュールすることを決めた。

それまでは、NSAIDSを内服してもらい、治療に向かう1時間前にロキソニン+カロナールを服用してもらうように指示した。

と言うことで、別日にリスケジュールされた治療が行われたのである。

2021.10.17(リスケジュール日)

この日は麻酔を以下のような工程で行なった。

  1. IANB+Long Buccal
  2. Intra-ligamentary
  3. Cold test
  4. 必要であればIntra-ligamentaryを再度行う

ということで、私は今日は伝達麻酔して30分時間を置いてみた。

するとそれほどいいリアクション(唇は痺れているがベロは痺れていない)ではなかったためこの日も格闘を覚悟したが…

Cold testに無反応であった。

となれば治療のチャンスである。

もはや猶予はない。

一刻も早く歯髄を除去する必要がある。

ラバーダムをかけて天蓋を除去し露髄させた。

すると、MLからは排膿があり、MB, Dからは大量出血であった。

途中、DとMBを触れると痛みを訴えたため、髄腔内に麻酔をしたが天蓋は既に除去している…が髄腔内麻酔はできる。

少し工夫をしているのだ。

この画像を見てわかる人は、わかるだろう。

すると麻酔が治療中に切れることはなかった。

ロキソニン+カロナール様様である。

昨日私についていた歯科衛生士さんや歯科医師の人にこの治療の様子を見せたかったが…こう言う日にはいないと言う…

私らしいか。

と言うことで、作業長などを計測した。

MLは閉鎖されていた。

D, MBは穿通した。

それぞれの工程は上図の表を参考にして欲しい。

ポイント試適した。

問題ないと判断し、根管充填し支台築造した。

ちなみにこの患者さんは口がほとんど開かない…

こういう人が最近このバイト先は多い気がする。。。

非常に治療がやりにくかった。

MLはこれ以上ファイルが進まなかった。

偏心撮影をした。

合流まであと少しだったが、合流はさせることができなかった。

が、それが治療の成功率に影響を与えるか?はわからない。

ということで長い格闘が終了した。

半年後に経過観察して問題なければ補綴治療となる。

問題があれば?もちろん、Apicoectomyである。

が、この患者さんは口が開かないだけでなく、口唇が硬い…

つまりリトラクトがしにくい患者さんである。

うまくいけば何もないだろうが、Sinus tractなどができればApicoectomyとなる。

半年後の経過観察で再び報告しよう。