紹介患者さんの治療。

主訴は、

右下、以前治療した歯が冷たいものにしみていたい…

である。

歯内療法学的検査(2025.2.12)

#29 Cold+2/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30 Cold++1/14, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Tooth Mobility(WNL)

#31 Cold+2/24, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Tooth Mobility(WNL)

主訴は強い冷水痛と継続痛(Lingering Pain)がある#30,31だ。

PA(2025.2.12)

水平埋伏の親知らずが#31に食い込んでいる。

そこで清掃ができずに、カリエスができてこの主訴が生まれたのであろう。

親知らずは正直して萌出しているのであれば保存で、水平埋伏なら抜歯が必要だ

と私は考える。

その心は、

正直して萌出している親知らずを保存しておけば、もしも時に他の歯の自家歯牙移植に使えるからだ。

が、これはあくまでも個人の意見であり、エビデンスがあるわけではないし、虫歯がなければ抜歯でいいのだが。

人によるということだろう。

CBCT(2025.2.12)

#30 MB

#30 MBの直下までカリエス除去している。

これでは時間とともに根管の石灰化が起きるか、歯髄が壊死するかの二択だ。

そもそもが、虫歯を全て除去したことがこの状況を呼んでいる。

ではどうすればいいか?だが、

①小児患者でう蝕が深く症状があるなら、全部断髄

②小児患者でう蝕が深く症状がないなら、そのまま虫歯を残してう蝕処置(が、根管は石灰化する)

③成人患者でう蝕が深く症状があるなら、抜髄・根管治療

④成人患者でう蝕が深いが臨床症状がないなら、そのまま虫歯を残してう蝕処置(が、根管は石灰化する)

が理想的な処置である。

将来根管が石灰化して根管治療ができないのが嫌であれば、

⑤成人であれ、小児であれ、抜髄・根管治療

である。

今回は、③であるのでその処置は自動的に決定である。

#30 ML

MLの直下にもカリエスがある。

これが臨床症状の原因だ。

#30 D

#30 Radix

#31 ML

MLの直下まで虫歯が進んでいる。

これが歯髄炎の原因だろう。

上記のクライテリアであれば、

③成人患者でう蝕が深く症状があるなら、抜髄・根管治療

である。

#31 MB

#31 D

歯内療法学的診断(2025.2.12)

#30

Pulp Dx: Symptomatic apical periodontitis

Periapical Dx: Normal apical tissues

Recommended Tx: RCT

#31

Pulp Dx: Symptomatic apical periodontitis

Periapical Dx: Normal apical tissues

Recommended Tx: RCT

2本とも根管治療が必要である。

別日に2本同時に治療が行われた。

☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#30 RCT(2025.7.31)

根管治療は以下のように行われた。

まずInlayを除去し、隔壁を形成した。

その後チャンバーオープン後に根管口の位置をそれぞれ確認し、SXで形成した。

この後、以下のようにFileを入れて作業長を決定した。

MAFはペーパーポイントで出血がない限りは#40.04だろう。

これは後ほど確認する。

根管充填し、支台築造した。

術後にPA, CBCTを撮影した。

MB

ML

D

Radix

問題はないだろう。

次回は半年後である。

またその模様をお伝えしたい。

また明日、#31の模様とともに#30,31のPAを含めて報告したい。