バイト先での治療患者の経過観察。

2020.9.2(バイト先での初診)

治療の相談があり、この症例は迷いなくApicoectomyを提案した。

その後、5本同時にApicoectomyが行われた。

lid techniqueで逆根管充填している。

#7,8,9,10,11 5本同時のApicoectomy with lid technique

このPAを見てわかることとは?

そう。

患者は、歯科治療したところのみが悪くなっている。

治療したところがなぜか悪くなるという矛盾。。。

再治療で成り立つこの業界。

なぜ保険で根管治療できないのか?

と多くの患者からあなたは詰問されるだろう。

できるわけがない。

できる!というならその財源はどこにあるのだろうか?消費税を30%にすることに誰が賛成するだろうか?そうなったとしても技術がない人間がどうやって治療をするのだろうか?

与太話はさておき、術前にCBCT も撮影していた。

#7

#8

#9

#10

#11

側切歯の#7,10は口蓋側に根尖病変が進展している。

これは破折と間違ってはいけない。

側切歯は口蓋側に病変ができやすいのである。

しかし、病変が大きいため特に#7は治癒には時間を要するだろう。

さて、以上の状態の歯をApicoectomyした。2021.5のことである。

ここから7ヶ月が経過したのがこの日の経過観察であった。

以下のようになる。

2021.12.8(Apicoectomy後7ヶ月経過)

#7以外は良好な治癒を示している。

#7は治癒中と言ったところか。

ちなみにいかなる臨床上の不快症状もない。

これはあと半年は待つ必要があるだろう。

もし良好な治癒を示さなければ?

以下のように対応する予定である。

最終補綴後に、Submarginal Flap(Luebke-Ochsenbein Flap)を開けてこの赤い部分で歯根を切断する予定である。

Submarginal flapとは以下のように切開剥離する医療行為である。

補綴のマージンを下げたくない場合、行われる。

ただし、歯槽骨が欠損していてはこの切開を行うことはできない。

CBCT と口腔内写真を撮影し、術前に確認する必要がある。

このUSC時代にApicoectomyした患者は一見するとこの方法の適応症のように見えるが、実際は非適応症である。

マージンを下げたくないか、瘢痕形成しても構わないかの二択になる。

そして逆根充する。

この処置が必要になれば、私の予想と行為が外れていたということになる。

しかしまだ勝負はわからない。

なぜなら時間が7ヶ月しか経過していないからだ。

まだ時間をおかなければならない。

しかし、いかなる臨床症状もないので最終補綴してもらう予定である。

意思決定の進め方が重要になる症例であるが、最終補綴は問題なく行えるはずである。

歯科医療は意思決定の連続である。

あなたもこれを参考に意思決定してみてはどうだろうか。

こうしたお話は、来年のAdvanced Course 2022でも行われる。

ついにあと数名で満席となります。

来年の5月まで受講生は一応募集しているが、早めの応募をお待ちしている。

ということで今年もあと少しだ。

体調に気をつけて頑張りましょう。