2/27(日)は福岡歯科大学学術講演会であった。

福岡国際会議場へ私も赴くはずであったが、個人的な都合でオンライン参加となってしまった。。。

多くの人に突然ご迷惑をおかけしたが、前日から予定を調整していただいてその日を迎えることになった。

と言うことで、私の講演は11:25から行われた。

題名は、

Modern? Endodontic Technique

である。

この題目にした理由は、

最先端の器具がなくても歯内療法はできる

ということを証明したかったからに他ならない。

私の抄録は以下になる。


Modern? Endodontic Technique

マイクロスコープ、CBCT、バイオセラミック材料の浸透は歯内療法臨床を大きく変えたと言われ ている。

特にマイクロスコープは今やそれ自体を所有しているだけでは話にならないし、バイオセラミック 材料は歯内療法臨床(得に術式)を大きく変えた。

今やMTAセメント自体が必要ないくらいである。

しかし、当歯科医院にはCBCTはない。

ないが、歯内療法をやっていける。

現に私はアメリカへ留学する1年前の2013年から歯内療法のみしか臨床を行なっていない。

その時以来、特別CBCTがないからといって困ったことがない。

外科治療(Apicoectomy)以外でCBCTを使用することはないからだ。

今回の講演では、私がどのように日々の臨床に取り組んでいるか?をケースを通じて解説していこ うと思っている。

明日から役に立つ?知識をまとめて公開したい。


以下、3つのテーマに関して講演を行った。

このブログの読者なら聞いたことがある話だろう。


①大臼歯の根管形成・根管充填について〜CBCTはいるのか?解剖学的知識の整理

まずは大臼歯の根管治療にCBCTが必要なのか?ということに関して論じた。

ポイントになるのは、結局いつもと変わらない。

結局いつもと話している内容が変わらないという…

まあしかしながら多くの人が聞きたい?テーマであっただろう。

次に、Single Pointに関して論じた。


2. Single Point根充でいいのか?

2017年にFriedmanと会って話した時の経験談をもとに講義を進めていった。

Tronto Studyに対する疑問からその話は始まっていった。

垂直加圧根充の方が予後がいい。

しかし、この文献にはどのようにしてそれを行ったか?書いていない。

なので、2017年のデンツプライのプライベート?セミナーに参加したときに、本人を捕まえてどのように垂直加圧したのか?聞いてみた。

すると、意外な答えが返ってきた。

大学を卒業して以来、側方加圧しかしていないという。

垂直加圧に至っては、Single Point根充だろ、それは!と一刀両断された。

それどころか、論文をもっと注意深く読め!と詰問されてしまった。

そこで注意深く読みなそうと以下のフレーズが頭に入ってきた。

これが訳すことができれば、あなたはFriedmanの期待に?答えられるかもしれない。

それほど重いことであった。

確かにここには垂直加圧が上である!ということは述べられていなかった。

Keyは、”At best”の意味である。

これを知っているか、知らないかで大きく道は分かれるだろう。

CWCTがSingle Pointであるというこれの根拠は、Goodman 1974の論文である。

興味がある人は読み直してみよう。

わかりやすくはPathway’s of the Pulpに以下のように記されている。

この139の論文を読むことを薦める。

そこに理由の根拠となる文献があるからだ。

また、昨今話題になっている?Single Point根充による歯内療法に関して解説した。

Chybowski 2018の論文である。

もはやこの論文もCurrent Literatureではなく、Classic literatureに分類されている。

時代は動いているのだ。

これに関してはこのブログでも何回も取り上げているので詳細は省略する。

治療の成功率としてはいわゆる他の根管治療の予後と変わらない。

無菌的な環境下で行えば、きちんとした方法なのである。

根管充填の方法よりも、いかに治療中の環境をコントロールするかの方が大事であるという話をした。

私たちはマジシャンではなく、臨床家である。

独りよがりな意見は世界の誰も認めない。


最後に、Lid techniqueの話をした。

3. Lid Techniqueとは?その方法と臨床的意味について

以下の動画を公開し、参加者に見ていただいた。先日行った#19のApicoectomyである。

歯根の切断時には断面が見えていないのに、逆根管形成時には断面が見えている。

その理由をあなたはわかるだろうか?

ここが一番実は重要だったりする。

さて話を戻そう。

今回の外科のテーマは

Lid Techniqueである。

このLid Techniqueの臨床的な意味について論じてみた。

それは以下の3つがあるだろう。

これまでの外科治療の欠点を補ってくれる可能性が高い。

MTAの時代はもう完全に終了したと言っていいだろう。

そのためには、以下の材料が今のところは必須になる。

ペントロンのWell Pulp STもいい材料だが、このBrasselerのチップがつかない。

彼らはこうしたチップの開発が急務と言えるだろう。

そうすれば日本人なら高いBC sealerよりもWell Pulp STを購入するかもしれない。

これはペントロンへのアドバイスと言える。

最後に前歯の症例を以下のように見ていただいた。

経過は半年が経っている。

#9 Apicoectomy with Lid Technique

#10 Apicoectomy with Lid Technique

術後は半年しか経過していないが、予後を公開した。

半年しか経過していないが、経過は良好であると言える。

治療前後の比較は以下である。

いかなるSinus tractや歯肉の腫脹も痛みなく経過は良好である。

Lid techniqueでも経過が良好であるという臨床的な証拠を見せることができただろう。

と言うことで私の話は終了した。

質問も二、三ありそれに答えると私の持ち時間は完全になくなっていた。

と言うことで慌ただしく1日は終了していった。

次回は機会をいただければ会場でお話しできればと考えている。

拙い話を聞いていただき、ありがとうございました。