バイト先での治療。

患者は50代女性。

患歯は左上1番。

根管の側方に病変が認められる。

術前の検査では以下のようになった。

Perc.(+), Palp.(+), Bite(-) Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)

よって歯内療法学的診断は以下のようになる。

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

著しく不適合なレジン充填が遠心に認められる。

患者曰くかなり前の治療でラバーダムもしていないとのことであった。

かなり昔に保険診療からラバーダムが外された時、私はYahoo! Blogで大反対したがそんなものは国に届くわけもない。

しがない開業医の声を聞く耳など今の日本の歯科業界にはないのだ。そしてYahoo! Blog自体も廃止されてしまった。

しかしあれから10年以上経過しているが、この国の歯科医療はいまだに変わっていない。

むしろどんどんひどくなっている気がする。

まともな先生もいるが私の知る限りそういう人はかなり珍しい。業界でも10%だろう。

これから将来を目指す先生は徹底して一般的に世の中で受け入れられている歯科医療と逆の道を進むことを勧める。

それが正しく勇気のある歯科医師を作って行くのだと私は思うからだ。

さて話は逸れたがこの患者さんは外科治療(歯根端切除術)になった。

昨日は歯牙が破折していたが今回は単純な話で側枝が根管に発見された。

この歯科医院ではiphoneで治療画像を記録している。

したがってご覧のように画像がかなり不鮮明だ。

この画像を見ておわかりいただけると思うが、マイクロスコープというものは自分だけがわかっても仕方がない。

患者にわかるような画像でなければマイクロスコープを持っている意味はないのだ。

ということで絵に書いてご説明する。以下のような状況であった。

側枝がメインの根管の頬側に位置している…

しかもこの歯科医院には不思議なことに、Biodentineしかなかった…

したがってレントゲン造影性が悪いのと、偏心撮影を行ってもこの根管上に存在する側枝につめたBiodentineはcatchされない可能性が高いということだった。

案の上、何度もPAを撮影したが側枝に充填したBiodentineをCatchできなかった…

最後に縫合して外科治療は終了した。

抜糸は1週間後を目処に行う。

さてご覧いただいた症例は昨日アップしたブログと比べてみてどうだっただろうか?

画像の鮮明さとその説得力が全く違うことがわかっていただけたと思われる。

そして非常に単純なことなのであるがこれがこの2つの歯科医院の大きな差になっていると言える。

このように歯内療法に力を入れる歯科医院を作ろうと思えば、写真の精度は必須項目である。

カメラは一眼レフに限る。USCのときはCanonのカメラをアメリカで購入させられた。

周りの友人に聞くとSONYのカメラもいいそうだ。

そしてマイクロスコープにカメラをつなげなければいけない。ビームスプリッダーも必要だ。

そしてカメラアダプター。

私もカメラアダプターをUSC時代に購入して所有していたが、倒れた時に業者などが複数来院しそれぞれが片付けていてその間に紛失したとのことだ…

全く無責任極まりない…こういうのを火事場泥棒と言うのだろう。

しかしながらこのアダプターに関しては某社が裏技を持っていることが判明した。

その事実をまずはこの歯科医院の院長に伝えてみようと思う。

そして彼がそれを取り入れれば…皆様にもいずれご紹介したいと思う。

そして治療後、この歯の遠心に不適合なレジン充填が装着されていることを私は告げた。それがこの歯に問題を引き起こした最大の原因である可能性があるからだ。

きちんとレジン充填をやり直した方がいいと告げた。

すると患者さんは自由診療でいいのでいくらか知りたいと言い出した。

このようにきちんとした治療は患者の価値観を変えるのだ。

若いこれから開業して行く先生には是非参考にしてもらいたい出来事であった。