週末の土日は、マイクロRe-RCTマンツーマンコースが行われた。
受講者は1名。
日本では、再根管治療に関してはセミナーがないので受講した
といっていた。
ここに日本とアメリカの大きな違いがある。
日本では、もうどうしようもない歯を再根管治療させられるケースが多い。
そして、保険医は応召義務があるためその診療を断れない。
例え、不遜な相手が患者でもだ。
Gorniが言うところの成功率40%しかない症例でも再根管治療を強いられる。
したがって、以下のような再根管治療の成功率がありましたと言う文献を持つと大きく違和感を感じるのだ。
なぜこんなに成功率が高いのだろうか?といえば、それは当歯科医院の成功率の症例一覧を載せているところを供覧していただければわかるだろう。
相手がほとんど治療をしていないのだから、治療がうまくいく確率は高いのである。
つまり勝利があらかた決められている症例しか、再根管治療はしない。
また、歯内療法の生存率を求めた文献もあるがここでもその生存率はかなり違ってくる。
が、肝心のN数を見てほしい。
Salehrabi, Rotstein 2004 Endodontic treatment outcomes in a large patient population in the USA: an epidemiological study
Outcomes of initial endodontic treatment done in 1,462,936 teeth of 1,126,288 patients from 50 states across the USA was assessed over a period of 8 yr. Treatment was done by private general practitioners and endodontists participating in the Delta Dental Insurance plan that insures approximately 14 million individuals in the USA. Overall, 97% of teeth were retained in the oral cavity 8 yr after initial nonsurgical endodontic treatment.
150万本治療して8年後の生存率は97%である。
このStudyには再治療バージョンもある。
Salehrabi, Rotstein 2010 Epidemiologic evaluation of the outcomes of orthograde endodontic retreatment
In this study, outcomes of orthograde endodontic retreatment performed on 4744 teeth were assessed during a period of 5 years. Overall, 89% of teeth were retained in the oral cavity 5 years after the endodontic retreatment. Four percent of all teeth underwent apical surgery that occurred mostly within 2 years from completion of orthograde retreatment. Eleven percent of teeth were extracted at the end of the 5-year observation period.
4700本治療した再根管治療の5年後の生存率を見ている。5年後の生存率は89%であった。
この二つのStudyの何を私は言いたかったのか?といえばそのN数だ。
抜髄が150万本に対して再根管治療が4700本だ。
その差はおよそ300倍である。
なぜこんなにN数が違うのか?といえば、
根管治療がきちんと成功(90%)しているので、その後に再根管治療に移行する割合が極めて少ない
からである。
また、上述した成功率が40%しかないのであれば、再根管治療ではなく外科治療を行うのが普通だから
である。その際の成功率は90%もあるのだ。
つまり、
根管治療(再根管治療)に対する捉え方がアメリカと日本では大人と子供のような差があると言う事実がここにある。
メジャーリーグと草野球くらい差があるとかつていっていた人がいるが、それは当たっているだろう。
大きな差があるのだ。
ただなんとなく根管治療するしかない日本人と、きちんと考えているアメリカ人には大きな差があるだろう。
そして患者さんはそれを認識しなければならない。
どこに行っても同じではない。
大きな差があるのだ。
それは日本であなたが生まれた以上、仕方がない出来事である。
ということで、
再治療を制するものは、どういった歯が再治療の対象なのか?精通している必要があるのだ。
ここがきちっとしていないと正しい答えが導き出せない。
以下、初日は講義をおこなったが、当歯科医院のBlogに掲載してあることを多く解説した。
症例が増えてきたので動画で見せることが可能になってきた。
2日目は実習を行なった。
すでに治療されている歯を持ってきていただいたが、受講生が感動していたのが超音波で容易にレジンが除去できると言う事実を知った時だろう。
楽々&サクサクレジンが切削されていく。
ファイバーポストももう面倒臭くないだろう。
このように、結局再治療は道具が重要である。
使用する道具が目まぐるしく変わっていく。
流行りが次々に新しく更新されてくのだ。
それに追いつかなければならないだろう。
ということで二日間のマンツーマンコースは終了した。
先生、これからも頑張って診療してください。
応援しています。