勤務医の治療が当歯科医院では行われるので、患者さんにこのブログでの掲載の許可をいただいたので掲載することにしよう。
紹介の患者さんである。
主訴は
ここにくる数日前には激しい自発痛があったが、今は大丈夫
であった。
歯内療法学的診断は以下になった。
#6 Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#8 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
根尖部に病変が見れる。
歯内療法学的診断は以下になる。
#7 Pulp Dx:Previously Treated, Periapical Dx:Asymptomatic apical periodontitis
Recommended Tx:Apicoectomy
ApicoectomyかRe-RCTだが、またしてもピンがスーパーボンドで付けられていると手の打ちようがなくなる。
であれば、最初から外科治療でもいいかもしれない。
しかし、外科の場合、どれくらい歯根を削除するか?と言う問題が残る。
3mmか?
それとも切断をSaveしてApicoectomyを行うか?
色々と考えなければならない。
またCBCTも撮影していた。
その解析は以下である。
さて、このCBCTを分析するソフトはmacで使用できるフリーソフトだ。
そして
某社と異なり絵を回転できる
つまり、歯内療法に使えるCBCTである。
どういう種類の何を使用しているか?知りたい人は、Advanced Courseでお待ちしています。
話を元に戻す。
Apexまでの長さはCEJから約12mmである。
日本人の長さから言うとやや長めの歯根である。
このことから術野を大きく取る必要性が生じてくる。特に口唇が硬い方ならばだ。
Apexから3mmの部分で切断すると逆根管形成は2.3mmしかできない。
それでいいのか?といえばやはり心もとないだろう。
では切断の長さを短くするか?であるが、臨在歯と比べるとそれは薦められない方法になる。
さて考慮すべきことは何mm切断するかである?
歯根の長さは約12mmである。
その1/3は4mmだ。
つまり理想的には3~4mm根尖部を切断したい。
しかし、3~4mm切ると逆根管形成は1mmしかできなくなる。
そこで妥協するか?
それともわざと1mmカットして3mmの逆根管形成の長さを確保するか?
それとも3~4mmカットして既成ピンを無理やり形成するか?
いずれかだ。
この点に関して話し合った結果、
3~4mmカットして既成ピンごと逆根管形成する手法
に決定された。
以前のこのブログの記事を見てそうすることにしたと言う。
逆根管形成ができない?ときは??(メタルポストコアに対する逆根管形成) GTRの膜は必要???〜#10, 11 Apicoectomy
某社にこのことを話した。
その場合、以下のリスクがある。
①逆根管形成チップが折れる可能性
②既成ピンを削れない可能性
以上のリスクを頭に入れて施術となった。
Apicoectomy時(2022.4.1)
☆以下、外科の画像が出てきますので気分を害する方はSkipしてください。
1. Osteotomy
2. Root Resection
3. Application of methylene blue dye
4. Retroprep(前半)
某社の逆根管形成チップを用いて形成したものの、最終的には破折してしまう。
そこで、また某社の(シルバーの超音波)ものに変更した。
既成ピンを削るのは難しかったようだが、ピンの直下まで逆根管形成・逆根管充填ができている。
この時使用した、某社の超音波では思ったように削れなかったようだ。
そして私も見たが、パワーを上げると折れてしまった…
これでは、既成ピンを操ることはできないだろう。メタルポストやピンを逆根管形成で削らないといけない場合はシルバーの超音波の方が良さそうである
と言うことがわかった。
5. Retroprep(後半)
6. Retrofill
Lid techniqueで逆根管充填した。
PAは以下になる。
問題はないと判断し、縫合して治療は終了した。
1週間後に抜糸であった。
抜糸直後の口腔内の記録が残っていた。それが以下になる。
目立った審美的問題はない。
そして経過は半年後に見ていくことになる。
治癒には4年必要である。
長い付き合いになりそうである。
また経過は半年後にお伝えしよう。