以前のBlogに掲載した患者さんの治療の続きである。

前回は、#9のRe-RCTを行なった様子を掲載させていただいた。

除去が難しい既成ピンを有する再根管治療〜#9 Re-RCT+Core build up with Fiber Post

その患者さんが別日に#10 Apicoectomyをおこなったのでその模様を掲載する。

前回の再治療とどっちが簡単か?と言われれば断然、こっちである。

単純極まりない治療で全く問題がないと言えるだろう。

CBCTなどの資料は術前にいただいていた。

#9 Re-RCTは以下のように終了している。

術前

#9のRe-RCT終了後に#10のApicoectomyを別日に行なった。


#10 Apicoectomy時(2022.4.6)

術前のCBCTから#10はかなり長い歯であるという予想ができる。

歯槽骨長より11~12mm先にApexがあることがわかる。

まずその位置の計測が必要である。

以下、外科の動画をアップしますので気持ちの悪い方はSkipしてください。

術前のCBCTを参考にしてOsteotomyを行なった。

目的は根尖部の把握のためである。

根尖部を把握しなければどれだけの長さを切断していいか?わからなくなる。

まずあなたがすることは、Apexを探すことである。

この際に便利なのがエンド用の鋭い短針である。

海外サイトで販売している。

例えば私がアメリカにいるときに多々材料を購入していたDowell Dental社にはそれに該当するものがある。

Dr. John West's Signature Series Micro Endondontic Explorer JW17

鋭い短針で根尖部を触れることができればあなたが得たいものに限りなく近づいている。

根尖部から3~4mm切断することになるがその長さも使用するバーを使用して計測する。

ゼクリヤバーで切断するのでその長さを知ることはマストである。

あなたはその長さや幅を頭に入れているだろうか?

入れていなければ…勝負には勝てない。

と言うことでApexから3~4mmを切断した。

Apexを取り出して切断面を短針で探索するのは破折が存在しないか?確認するためである。

USC時代によくそうしたCheckをするようにと指導医に指導された経験が蘇る。

ここで深いポケットがあれば…もっと切断せねばなるまい。

それがなければ単なる病変である、と思われる。

しかしその答えは誰もわからない。

逆根管形成した。

Lid Techniqueで逆根管充填した。

PAを撮影した。

問題ないと判断した。

このまま縫合へ移行した。

 

およそ1週間後に抜糸が行われた。

いかなる問題もなかった。

なぜか?

歯周病の歯に歯内療法の治療はできないからである。

と言うよりは…歯周病の歯は残せない。

つまり治療のしようがないのである。

したがってそんな歯を残してどうするのか?という話になるだろう。

と言うことで30分のApicoectomyは終わりを告げた。

次回は半年後の経過観察となる。

また次回、報告しよう。