紹介の患者さん。

遠方からなのでなるべく1回で終わりたいところである。

主訴はかかりつけ医からの、

補綴治療を行うので根管治療をしてほしい

であった。

歯内療法学的検査は以下になる。

#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold+4/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

CBCTも撮影していた。

近心根(MB根)

切断を試みれば8/11(73%)の長さバーが挿入されなければならない。

深く入れなければならないので、Apicoectomyになると難しいだろう。

非外科的に治療する場合は、

石灰化しているMBを穿通できるのか?

MB2は見つけることができるのか?

そもそも前医はなぜこの根管治療にならざるを得なかったのか?

などさまざま考えることがある。

他人の所為にしても何も発展はない。

考察が大事である。

その上で、ここを非外科的に再根管治療するか?外科的に切除療法するか?決めなければならない。

次にDB根

切断すれば長さは4mmである。

バーの長さの4/11(36%)が挿入

されることになる。

全く難しくない。

Easyだ。

上顎洞を触れる危険性はあるか?といえば

全くない。

プラスアルファ、もし外科を行うのであれば皮質骨を1.7mm削合する必要がある。

しかし解剖学的にDangerousな部分は何もない。

“バーの大きさ”さえ知っておけば、どういう行動で歯根に行き着くか?わかるだろう。

詳細はAdvanced Course 2022で解説する。

さて最後がP根である。

P根

もしもここもApicoectomyするとしたら…頬側からの切断は歯槽骨が邪魔で無理である。

Intentional Replantationしかないだろう。

P根の根尖部に根尖病変が見れる。

近心面から見ると以下のようになる。

レッジができているのか?根管充填は途中までで止まっている。

つまり、再根管治療でマネージメントできそうである。

ということで、患者さんにはP根の再根管治療とMBとDBのApicoectomyが必要で、

まずはこの初日の来院日に口蓋根の再根管治療と支台築造を行うことを告げた。

そしてプロビジョナルレストレーションを装着していただき、

別日にMBとDBのApicoectomyを行うことになった。

患者さんは治療計画に同意したため再根管治療が行われた。


P根のみのRe-RCT(2022.4.18)

口蓋根は狭窄していたが、C+#6で穿通した。

そのまま拡大していったが、テーパー形成が既になされているためHyFlex EDMは最終的には#50.03, #60.02がかろうじて先端のTip部分のみ当たるか…という形であった。

それでは不安であったため、WaveOne Gold Large, ProTaper Gold F5を用いてTaperを付与すべく形成をしたが、これでもほとんど切削感がなかった。

ということでP根はアピカルストップがほとんど作成できなかったと考え、BC sealerとBC puttyで根管充填することにした。

BC sealerをまず根管に挿入してBC puttyで蓋をするという作戦である。

そんなことして漏れたら大変だろう!と怒るそこのあなた。

上のCBCTを見てもその心配があるだろうか?

このP根がどうやって上顎洞内にBC sealerが漏れるというのだろうか?

その可能性を私は少なくとも感じない。

が、極めて注意深く治療はする必要があるだろう。

ということでBC sealerで充填してBC puttyでそこを埋めた。

PAを撮影した。

問題はないと判断した。

その後、レジンで支台築造した。

ということで再根管治療は終了した。

かかりつけ医でプロビジョナルレストレーションを装着していただいてそれから当歯科医院でMBとDBのApicoectomyを行う予定である。

その際にまたこの続きを報告しよう。

少々お待ちください。