紹介された患者さんの治療の経過観察。

#30のApicoectomyを紹介された。

歯内療法学的診断は以下になる。

#29 Cold+3/5, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#31  Cold++1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

私が再治療を試みたがトランスポーテーションしたからである。


下記のPAがそれを如実に示している。

初診時(2021.3.25)

近心にGutta Percha Pointを突き抜けさせて形成してしまった。。。


初診時CBCT(2021.3.25)

この歯は完全にトランスポーテーションしている。しかし、私は以前の再根管治療でその部分も含めてBC sealerで根管充填した。

ということはその部分で穿孔の封鎖はできているということが期待できる。

外科時に問題があれば穿孔上部までカットするが、それは状況次第だ。

それよりも心配なことはこの歯の根尖病変を直すのはいいが歯牙が割れればそれまでである。

もうかなり歯質が少なくなっている。

これは予後に影響を大きく与える因子であろう。

それだけが心配であるが…

#30 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Symptomatic Apical Periodontitis

Recommended Tx:Apicoectomy

ということで、Apicoectomyが行われた。


Apicoectomy時(2021.11.16)

☆以下、外科治療の動画が出ますので気分を害する方はSkipしてください。よろしくお願いいたします。

 

PAは以下になる。

 


ここから半年が経過した。

奥歯が痛いという連絡を受けていたので覚悟はしていたが…

PAは以下になる。

Apicoectomy 半年経過(2022.5.31)

逆根管充填剤が逆根管形成窩洞の中に完全に回りきっていないかもしれないが、半年という時間が治癒を与えていた。

事実、PAでの根尖部の歯槽骨はかなり回復していたことがわかる。

検査をすると痛みも同部にはなかった。(Perc.(-), Plap.(-), BT(-))

では痛いところはどこだろうか?

よく聞くと、奥歯が染みる時があるという。

であれば、それは#30ではなく#29や#31だろう。

Cold testを改めて行った。

すると…

#31 Cold++1/10

というリアクションが。。。

そうつまり、痛みの原因は#30ではなく#31であった。

ということは、

①#31のメタルクラウンを除去して歯の内部をCheckする(おそらく根管治療になる)

②全て忘れるか

しかない。

患者さんは全てを忘れることを選択した(笑)。

はい、私も忘れます。

経過観察時にこのことはもう聞かないし、検査もしないだろう。

ということで次回は半年後の2022.12を目処に経過観察を行う予定である。

その際はCBCTも撮影してもらおうと思っている。また、結果を報告したい。