紹介患者さんの治療。
主訴は
左上5番のクラウンの歯が顔を洗ったり、口を大きく開けたり、患部を指で押すと痛い
と言うものであった。
早速、歯内療法学的検査が行われた。
#12 Cold+5/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL),Mobility(WNL)
#13 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold+6/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL),Mobility(WNL)
主訴が検査で再現できた。
これは歯内療法で主訴を解消できる可能性がある。
PAは以下になる。
かかりつけ医にCBCTを撮影していただいた。
歯内療法学的診断は以下である。
#13 Pulp Dx:Previously Treated, Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis, Recommended Tx:Core build up with Fiber Post→Apicoectomy
推奨する治療は外科である。
なぜか?
と言えば
既に根尖部が大きく拡大されている
からだ。
また、
Apical Foramen近くまで根管充填
されている。
テーパーも申し分ない
だろう。
この処置自体に問題はないだろうが(某地区の有名歯科医師が治療したそうだ)、その彼はラバーダムは使用していない。
それは、その先生の価値判断で歯内療法の世界の一般的な判断ではない。
個人の価値観や嗜好で治療内容が決まるほど、歯科治療は甘いものではないだろう。
大学院(USC)に行けば波紋される案件だ。
ということで、まずは支台築造処置から行われた。
FCK除去、Metal Post Core除去、Post Core build up with Fiber Post(2022.6.9)
☆以下、治療動画が出てきますので不快感を感じる方は試聴をskipしてください。
PFM Crownをまず除去した。
次にメタルのPost CoreをペントロンのVPチップを使用して除去した。
時間はほとんどかかっていない。
次にGutta Percha Pointを調整してファイバーポストを用いてレジンで築造した。
これが1回目の治療である。
2回目の治療がこの日行われた。
Apicoectomyである。
なお、術前のCBCTでは以下のような状況であった。
術前CBCT(2022.6.5)
上顎洞を穿孔してしまう危険性はない。
3mmで切断すると頬舌的に5.5mmの歯根端を切断することになる。
リンデマンバーの歯の部分の半分程度の挿入ですみそうだ。
それほど難しい治療ではないだろう。
ということで、別日にApicoectomyが行われた。
Apicoectomy(2022.6.24)
☆以下、治療動画が出てきますので不快感を感じる方は試聴をskipしてください。
根尖部が見つかったため、Apicoectomyした。
逆根管形成し、逆根管充填をおこなった。
確認のため、PAを2枚撮影した。
最終的に縫合して終了した。
この外科治療は私の中でもかなり簡単なもので、その時間はメスを入れて縫合するまで20分しかかかっていない。
昔、USCにいた時にアメリカで勤務したら外科は数十分で終了してとかなんとかと言う話を聞いたが、このことか!と今は腑に落ちる。
次回は1週間後に抜糸である。
その際の模様もご報告したい。
少々お待ちください。