バイト先での治療の患者さんの処置。

患歯は左上7番(#15)。

主訴は

左側で咬合すると痛い。物が噛めない

であった。

歯内療法学的診断は以下になる。

#14 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴が検査で再現できている。

これは治療で主訴が改善するかもしれない。

PAは以下になる。

初診時(2021.4.27)

近心根は見つからなかったのだろうか?

口蓋根は根尖部にファイルが折れている。

これを取り出すのはかなり難しい。

CBCTを撮影した。

初診時CBCT撮影(2021.4.27)

上顎の樋状根の歯である。

下顎ならまだしも上顎は珍しい。

P根には根尖部にファイル破折が見られる。

ファイルをとりだそうと試みると上顎洞内へ迷入する可能性がある。

それは避けたい。

次に断層像である。

根尖病変は上顎洞内へ進行している。

このままだと歯性上顎洞炎が起きかねない。

早く炎症をストップさせなければいけないだろう。

診断は以下になる。

#15 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis Recommended Tx: Intentional Replantation

推奨される治療はIntentional Replantationである。

なぜか?

私にはこのファイルを鮮やかに除去することは不可能だ。

が、この歯を抜歯して根切して逆根管形成して再植することは容易である。

と言うことでIntentional Replantationに移行した。


Intentional Replantation(2021.5.25)

脱臼して抜歯後、逆根管形成し、逆根管充填した。

PAを撮影した。

問題ないと判断した。

再植して終了した。


ここから7ヶ月の歳月が過ぎた。

患者さんにはいかなる臨床症状もないと言う。

Intentional Replantation後 7M Recall(2022.5.24)

最終補綴が既に装着されていた。

CBCTを撮影した。

術前と比べてみる。

Intentional Replantation 7M Recall CBCT(2022.5.24)

術前と術後を比較してみた。

術前(2021.5.25)vs術後1yr Recall(2022.5.24)

歯槽骨は回復し、上顎洞内の肥厚も落ち着いてきている。

次回は1年後である。

再度詳細をご報告したい。