経過観察の患者さん。

初診は旧・まつうら歯科医院で2018.12.5であった。

その時の状況は以下である。

初診時(2018.12.5)

(当時の)主訴:右下の奥歯が痛む。1〜2年前に治療した歯だが痛い。治療には4~5回通ったのに…

であった。

ちなみに2016年に治療をしている。私がアメリカの大学院を卒業した時だ。

根管治療に4~5回もかかっていたらUSCだったら間違いなくFacultyにどやされるだろう。

臨床ができない大学院生は不必要

これがUSCの校風であった。

治療したのに痛いというのは、治療した歯に何かしらの問題があるからである。

歯内療法学的検査を行った。

初診時検査(2018.12.5)

#29 Cold+4/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#31 Cold+2/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

嘔吐反射が強くてまともなPAが取りずらい…

偏遠心は特にひどい。

が、この写真から

MB根にはKファイルが、ML根にはH File的なものが残存しているとわかる。

ちなみに患者さんはその事実を知らなかったそうだ。

ファイル破折を知らん顔するとどうなるのか?ネット検索してみると非常に高額な賠償請求を受けていることがわかる。

無知な歯科医師は数が歯科医師のように増えて仕事がない弁護士に食われるのも時間の問題であろう。

そうならないようにどうすればいいか?だが、以下のような契約書を作成して患者さんにサインしてもらうしかない。

↓まつうら歯科医院 歯内療法専門室の根管治療の契約書(同意書)

以上から診断、推奨される治療は以下になる。

#30: Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis, Recommended Tx: Re-RCT+Core build up

推奨される治療は再根管治療である。

理由は、折れたファイルが邪魔で根管形成をしていないからだ。

では、このファイルは除去が可能なのか?と言えばどうだろうか??

MBにファイルは根管の中央部で破折しているように見える。

問題はMLだ。これは明らかに根尖部で破折している。

これが取れるかどうか?が勝負の鍵と言える。

ということで再根管治療へ移行した。


Re-RCT1回目(ファイル除去時, 2019.1.11)

1回目の治療は破折したファイルの除去に時間を費やした。

治療費は?・・・〇円である。

当歯科医院は破折したファイルの除去に対して請求はない。

しかし、破折したファイルの上部を多く削合する羽目になってしまった。

これは歯牙の寿命に関わる問題になりかねない。

が、#31も#32もあるのでなんとかなるかもしれない。


Re-RCT 2回目(2019.1.18)

2回目は根管形成し、根管充填し、レジンで支台築造した。

PAは以下になる。

根管充填した。ファイル破折の上部の歯質は論文の言う通り多く失われている。

これは歯牙の寿命にとっては、…だ。

が、破折ファイルを除去したためにApical Foramenに近い部位まで根管治療ができるようになった。

これは将来、病変が縮小することが期待できるだろう。

最後に、支台築造してPAを撮影した。

ということでかかりつけ医が補綴治療を行い治療は終了したが私が倒れたためこの患者さんの状況がわからずにいた。

が、新しくなった当歯科医院から電話をするとrecallに応じてくれたので再び状況を確認することができた。

治療して終了して依頼の対面である。


Re-RCT終了後 3yr Recall(2022.6.20)

治療前は臨床症状があったが、それは全て消失している。

Perc.(-), Plap.(-), BT(-)になっていた。

ということで3yr recallは終了した。

患者さんはあれからまた福岡に引っ越したので近医を紹介した。

ということで3年ぶりの経過観察は終了した。

来年はCBCTを撮影していただき詳細に報告したいと思う。

それまで少々お待ちください。