歯科医療総研からこの度、歯内療法の診査・診断に関するDVDが発売される。
歯内療法には色々な検査があるがそれを真っ当に行なっている臨床家を私はほとんど知らない。
それは恐らく日本人の根底にあるだろう? “患者に痛い思いをさせてはいけない”と言う意識からくるものだと思われる。
なぜか?
歯内療法の検査は患者に痛みを与えるからだ。
冷たいものがしみると言う主訴の患者に冷たいものを当ててそのリアクションを見なければならない。
熱いものにしみると言う患者にも、熱いものを当ててそのリアクションを見なければならない。
ときには電気を当てる必要もあるだろう。
それらを行い、歯髄の病名が決定される。
しかしそれを真っ当に?おこなっていいる臨床家を私はほとんど知らない。
なぜか?
患者が痛がる→その歯科医院の評判が悪くなる?=その歯科医院の評価が下がる?
と勘違いしているからだ。
例えば日本で良くある?現象としては次のようなものが挙げられる。
“うちの歯科医院は痛みを与えない。麻酔の時も〜して痛みを与えないように気を使っています”
USC時代に同級生の女の子にこの話をしたことがある。
彼女の答えは明快だった。
“痛みが麻酔の時にないとして、治療中に痛みが出たらどうするのか?”
“痛みがないとして根管治療がその日で終わらなかったら患者はどう思うのか?”
そして最後に彼女はこう言った。
” Pain is Pain.”
彼女に反論できる日本人がどれくらいいるだろうか?
多分誰もいないだろう。
私は今年脳動脈瘤の検査で入院したがその時、血管に造影剤を入れた。針は20Gで表面麻酔も何もなかった。
20G≒#90である。
#90のK Fileを表面麻酔なくブスリとやられる。
表面麻酔をしないからと激怒する患者がいるだろうか?
表面麻酔をしないからといってその病院は不親切極まりない医療機関だろうか?
日本の歯科医療機関の常識はもはや非常識と言っていいだろう。
私はDVDを売ってもらう側であるにも関わらず、このDVDが売れて多くの歯科医師がこのDVDでやっているような検査をしていくとは毛頭思っていない。
昔、あれだけCold testが大事だと言っても結局それをやっている人はほとんどいなかったからだ。
歯科医師10万人のうちの何人がその検査をするだろうか?おそらく10%以下だろう。
つまり1万人。
その1万人の中でラバーダムをする歯科医師はこれまた10%。
したがってまともな治療環境を整えている歯科医院は日本で約1,000件しかないと断言できる。
あなたはその1,000件に引っかかることができるだろうか??
もはや日本の歯科医療は負けが約束されたギャンブルとしか言えない。