紹介患者さんの治療。
主訴は
左上2番目の前歯、時々歯の根元が痛い。フロスが切れて清掃もできない…
であった。
博多駅東時代の患者さんで、2019.3.8に一度拝見している。
が、その後、私が脳出血で倒れたため治療ができないでいた。
そして日本を襲ったコロナ禍。
今回はそれらが落ち着いて?の3年ぶりの来院である。
歯内療法学的診断は以下になる。
初診時(2022.7.16)
#9 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#10 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#11 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
☆以下、検査の際の口腔内の動画が出てきますので不快に感じる方はSkipしてください。
#10,11間にフロス?が詰まっている。
これでは鬱陶しくて食事するのもいやになるだろう。
なんとかしてくれよ…という話である。
PAは以下になる。
CBCTは以下になる。
側切歯の根尖部の解剖学的形態を追求せずにそのままストレートに形成して根管充填しているように見えることから、再治療ではなく外科治療の適応症となった。
#10 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis, Recommended Tx: Core build up with Fiber Post→Apicoectomy
まず1日目に支台築造をやり直し、2日目にApicoectomyすることとなった。
1日目 Core build up with Fiber Post(2022.7.16)
☆以下、治療の際の動画が出てきますので不快に感じる方はSkipしてください。
Pinはプライヤーで除去した。
その後、ラバーダムをかけてファイバーポストで築造した。PAを撮影した。
別日に外科治療が行われた。
#10 Apicoectomy(2022.8.2)
☆以下、外科動画が掲載されます。気分が悪くなる方は試聴をお控えください。
#10の歯頸部からApexまでの長さをCBCTで測定すると13.0mmであった。
これを頭に入れて歯頸部からApexまでの長さを測定し、Osteotomyした。
根尖部のGutta Percha Pointは頬側に変異して充填されているため、容易に見つけられそうである。
上記動画の最後に出てきた黒い物体がGutta Percha Pointである。
前医が頬側に変異させて根管充填したため発見が容易であった。
根尖部を3mm切断し、Apicoectomyを行なった。
さて。
上記動画の途中で以下のような状況に出くわす。
切断した根尖部歯根面頬側に付着した白い物体はなんだろうか?
私はそれが何か?は正確にはわからなかったが、頭の中をよぎったのはかつての記憶である。
それは2022.8.4のことだった。
#9のApicoectomyを行なったのだが…(0:50〜に注目)
Extra-radicular Infection(根尖孔外細菌感染)である。
Sinus tractがある症例にはこれがあることがあるので頭が痛い…
が、削り倒してやれば問題はない。
ということで、この長さ以上に歯根を切断した。
PAを撮影した。
気泡は入ったが、問題ないと判断した。
最後に縫合して終了した。
次回は半年後である。
また続きをご報告したい。