紹介患者さんの治療。

この患者さんを紹介してくださったのは、熊本のけやき通り歯科・矯正歯科西村先生である。

西村先生の治療方針は明確だ。

自分の専門以外の治療には手をつけない

という治療方針である。

彼は自分の治療分野を明確に決めている。

これは21世紀に歯科医師が生き残るべき明確な治療に対する指針を持っていることになる。

興味がある先生は、彼の歯科医院に見学しに行ってみよう。

きっと得るものがあるはずだ。


患者さんの主訴は

矯正中から右上の歯茎が腫れている、咬合痛(あまり噛まないようにしている)がある、2022.7に矯正終了した。現在、保定中だが…

である。

右上を歯内療法的に検査した。


歯内療法学的検査(2022.8.9)

#4 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#2 Cold++1/1, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

PAは以下になる。

初診時PA(2022.8.9)

CBCTを撮影した。

初診時CBCT(2022.8.9)

#3 MB

#3 DB

#3 P

口蓋に根尖病変はほとんどなさそうである。

が、病変はあるのでシーラーパフは起こりそうだ。

ということで、歯内療法学的診断は以下である。

#3

Pulp Dx: Pulp Necrosis

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: RCT+Core build up

治療に対する成功の見込みは以下である。

成功率は90%と極めて高い。

しかし勘違いしてもらっては困るのは、これは一般的な数字である。

これには当てはまらない時ももちろんあることは、以前紹介した通りだ。

歯科治療はテレビゲームではない。

人がやることだから話通りにいかない時もある。

これは仕方がないのだ。

そう割り切れるか?が重要である。

ということで、治療に同意され初診時に根管治療が行われた。


RCT時(2022.8.9)

☆この後、治療にかかわる動画が出てきます。不快に感じる方はSkipしてください。

麻酔をかけて天蓋を除去して、根管治療をおこなって行った。

すると謎の穴が出てくる。

施術者はMBを露髄させて放置していた。

こんなことをすれば歯髄は失活してしまう。

バカでも考えればわかることを考えない、という日本の歯科医師の特有的な?治療である。

悲しいを通り越している。

歯髄を温存するよりも人としてもっと大事なことを学んだ方が良さそうだ。


また、研修会などで根管形成をするにはどうすればいいのか?と実習をすると聞かれることがある。

答えは以下の動画の通りだ。


私は上記の動画のように、窩洞内に大量のヒポクロを満たして根管形成する。

毎回この繰り返しである。

そして使用するファイルをなるべく少なくする。

Patency Fileを何度も行うのが面倒だからである。

そういうファイルシステムが私が好むファイルで、これから生き残るファイルであると信じている。

治療の内容は以下のとおりである。


MB2は存在したがかなり上の方に位置している。

以下のように検証した。



ということで所定のサイズまで形成してポイント試適した。

Point試適(2022.8.9)

問題ないと判断し、根管充填した。


根管充填(2022.8.9)


治療は30分程度で終了した。

根管治療は外してはいけない”臨床のコツ”を覚えていれば問題が出ることは少ない。

それを教えるのが、Basic Courseやマイクロエンドマンツーマンコースである。

それらは解剖マニア養成の場ではないのだ。

臨床に困っている人がいれば是非受講をお待ちしています。

次回は半年後に経過を確認する。

しばらくお待ちください。