紹介患者さんの治療。

2021.5.26にApicoectomyを行なっていた。

最終補綴は既に装着されている。

検査をすると、#7,8,9,10,11の5本の歯にPalp.(+)があった。

☆以下、手術動画・画像が出てきます。苦手な方はSkipしてください。


Apicoectomy時 PA(2021.5.26)

 

上顎前歯には大きな根尖病変がある。

そして全てが既に大きく根管形成されている。

また、トランスポーテーションも起こしている。

ここを修正して根管充填することは私には難しい。


CBCTも撮影した。

CBCT(2021.5.26)

トランスポーテーション、未穿通、巨大な形成etc.…日本の歯科医療の未来は以前、暗い。

診断は以下になる。

#7,8,9,10,11

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

患者さんは治療計画に同意してApicoectomyが行われた。


Apicoectomy終了後 PA(2021.5.26)


ここから1年2ヶ月時間が経過した。

1.2yr Recall(2022.7.21)


#7にはいまだに大きな根尖病変がある。

また、1年経過しているがPalp.(+)も解消されていない。

Symptomatic apical periodontitisであるが処置は既にApicoectomyを行っているのでそれがうまくいかなければ、Intentional Replantationが次の治療である。

ということで、Intentional Replantationに移行した。


Intentional Replantation時(2022.9.16)

ジルコニアのオールセラミッククラウンが既に装着されているが、Intentional Replantationを行った。

まず歯牙を脱臼させて抜歯を試みた。

クラウンは抜歯作業中に口蓋側歯頸部マージン付近が破折してしまい破損した。


歯牙を脱臼させて抜歯したが、ここでも私は学ぶべきことがあった。

やはり歯牙が少ない歯は前歯といえども抜歯が難しい。

特に最終補綴が入っている歯はかなりやりにくいものだ。

慎重にラクスエーターで脱臼させてダイヤモンド鉗子を使用して抜歯した。


抜歯後に抜歯窩を観察してみた。


抜歯窩に何が存在したか?見えただろうか?

これが原因で治癒が悪かった可能性が高いと考える…

そしてやはり、Intentional Replantationでは抜歯窩をよく観察することを私はお薦めする。

観察しなければこの事実に気が付かなかっただろう。


では次に、脱臼した歯を観察してみよう。

どのようになっているだろうか?

口蓋側は破折しているだろうか?

ベベルを付与せずに切断できていただろうか?


破折線は確認できなかった。

側枝もなかった。

しかし…

ベベルが…付きすぎていた。。。

これは大反省である。

慣れてくると出てくるエラーだ。

アメリカ歯内療法専門医じゃ!と偉ぶっても仕方がないとわかるだろう。

人間、きちんと確認しなければならない。

マイクロスコープから目線を外して水平に切断できたか?Checkした。

今回も切断後に確認した。

これは、私に対する、そして私のApicoectomyに対する注意点と言える。

毎回気をつけようと思う。


逆根管形成をバーを使用して行った。


逆根管形成の深さをCheckしながら逆根管充填した。


Lid Techniqueで逆根管充填した。

PAを撮影した。

問題はないと思われる。

抜歯窩に歯牙を再植した。


オールセラミッククラウンは以下のように破折していた。

口腔内に歯牙を再植した後にPAを撮影した。

Intentional Replantation後 PA(2022.9.16)

再植であるので、下顎と咬合させていない。

咬合接触は全て除去していた。


次回は1ヶ月後にリコールである。

その際は歯牙の動揺、痛み、Sinus tractの有無をCheckする。

そしてもう1ヶ月後(2ヶ月後)に歯牙の動揺、痛み、Sinus tractの有無をCheckし、歯内療法学的検査を行う予定である。

そこで術前の主訴が取れれば…この治療に意味があったと言えるだろう。

次回、1ヶ月後に経過観察を行うのでその報告を少々お待ちください。