患者は40代女性。
左上4,5を2018年1月にApicoectomyした。
それから数年経過したがこの度リコールに応じてくれたので知り合いの歯科医院で診療した。
当時の状況は悲惨であった。
どこに通っても抜くしかないですね、の一言。
彼女の悩みと向き合える歯科医師はいなかったのである。
またこのとき彼女は某病院から以下のような診断書も受けていた。
この治療計画によればCystを摘出して、Apicoectomyを行う予定だったという。
PAだけでCystがあるかどうかわかるだろうか?答えはNOだ。理由は先生方が大好きな?Ricucciが語っている。
初診時の検査は以下のようになった。
#11 Cold+3/4, Perc.(-), Bite(-), Palp.(-), Bite(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#12 Perc.(-), Bite(-), Palp.(+), Bite(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#13 Perc.(-), Bite(-), Palp.(+), Bite(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold+5/5, Perc.(-), Bite(-), Palp.(-), Bite(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAを撮影した。
歯内療法学的病名は以下になる。
#12 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
#13 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: #12 Apicoectomy, #13 Apicoectomy
予後に関してはクラウンを外さないとわからない。
ただし根尖病変が治癒する確率は90%ある。
ということで治療計画に同意していただいてApicoectomyを行なった。(2018.1.31)
この骨窩洞の中に人工骨はいれないのか??
いれない。入れる必要性がない。
その理由を知りたい方は, 2021年のAdvanced Courseの第2回でその理由が説明されるので乞うご期待していただきたい。
それから約3ヶ月経過した。(2018.5.21)
それから約3ヶ月経過した。(2018.8.2)
それから約半年が経過した。Apicoectomyを行なって1年以上が経過している。(2019.3.8、私が倒れる直前)
そしてこの日を最後にPAが取れなくなってしまったが患者さんはこの歯科医院に来てくれた。(2020.12.17)
外科治療を行なって約3年経過している。
#12,13の根尖部周囲に存在した根尖病変はどこに行ったのだろうか?
こんなもの治るわけがないと告げた歯科医師は口腔外科出身の何とかという歯科医師だったがどうだろうか?
あの時、この患者にもう抜くしかないと告げたこの口腔外科専門医は恥を知った方がいい。
歯槽骨は再生されている。
この状況でインプラントになっても骨造成など不要だろう。
患者さんはこの歯科医師にこのPAを見せたいと言っていた。
“ えっ?今も普通に機能していますけど、何か?” と言ってやりたいそうだ。
だから私が代わりに言ってあげた、というか書いてあげた。
そしてこれは多くの患者さんにアドバイスであるが、歯を削れば、そしてそれが保険診療に基づいているものであれば、あなたの歯牙は喪失へのカウントダウンを切られたと行っても過言ではないだろう。
歯科医院選びは、特に歯内療法の治療は、慎重に考えて身を委ねるべきである。