紹介患者さんの治療。
主訴は、
他院で過去、Intentional Replantationを行なっているが現状が芳しくない
と言う。
治療に至るまで随分と葛藤があったようだ。
特に以前、某学会の認定医がIntentional Replantationを行なっていたらしい。
が、治療としてうまく行っていなかった。
それに対しては…言うべき言葉は見つからない。
それが日本、それが人生だ。
ということで、歯内療法学的検査が行われた。
初診時検査(2022.11.24)
#18 Cold N/A, Perc.(+), Plap.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold+4/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
初診時 PA(2022.11.24)
根切をしているPAではないことがわかる。
恐らく、ただ抜いて戻しただけ
だと思われる。
それでは治療とはいえない。
治療は細菌を減らすことである。
抜いても細菌は減らないのだ。
また、根尖病変は掻爬しなくても治癒の過程で吸収されることもわかっている。
ということで以前の処置は処置とはいえないということを説明させていただいた。
CTも撮影していた。
初診時 CBCT(2022.11.24)
M根
CEJからApexまで16mmの長さがある。
かなり長い歯だ。
術後のペリオの問題はほぼないと言える。
D根
D根も14mmとやはり一般的な歯根の長さよりもかなり長い。
3mm切断しても11mmなので術後に問題はほとんど出ないだろう。
ということで歯内療法学的診断は以下になる。
#18
Pulp Dx: Previously Treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Core build up→Intentional Replantation
治療はまずコアをきちんとやりかえて、その際に歯牙が多く残存しているのであればその日にIntentional Replantationを行うと言う作戦であった。
患者さんは治療計画に同意され、治療が行われた。
支台築造(コア)は問題なく行われた。
ということでIntentional Replantationへ移行した。
☆以下、治療の際の動画が出てきます。不快感を感じる方は試聴をSkipしてください。
#18 Intentional Replantation① 脱臼・抜歯(2022.11.24)
ラクセーターで脱臼してダイヤモンド鉗子で抜歯した。わずか数分で抜歯は終わっている。
#18 Intentional Replantation②(2022.11.24)
抜歯窩を観察したが根尖などの異物は認められなかった。
と言うことで抜歯した歯のApicoectomy等へ移行していく。
#18 Intentional Replantation③(2022.11.24)Apicoectomy
根切後はメチレンブルーで染め出して逆根管形成を行なった。
#18 Intentional Replantation④ Retroprep(2022.11.24)
問題ないと判断した。
最後に逆根管充填した。
#18 Intentional Replantation⑤ Retrofill(2022.11.24)
逆根管充填後、PAを撮影した。
問題はないと判断した。
そのまま再植した。
治療自体は15分程度で終了した。
非常にやりやすい治療である。
次回は1ヶ月後に経過観察を行う。
その際の情報をまたご報告します。