昨日の記事の続編。

昨日は#2をIntentional Replantationした記事をアップしていた。

歯牙は保存できるのか?〜#2 Intentional Replantationと1M Recall

この際、

歯内療法学的検査(2022.10.19)

#2 Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#4 Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

で、

#3にも痛みが見られていたし、かかりつけ医は#2,3の治療を依頼していたので私は#3に関してもCheckしなければいけない。

術前 PA(2022.10.19)

術前 CBCT(2022.10.19)

B面観

MB根

DB根

MB, DBには大きな問題はない。

ということは嫌な予感がしたが…

P根

この上顎洞庭粘膜の大きな肥厚はこの口蓋根の根尖部1/3の側枝が原因であった可能性が高い。

そこをマネージメントできれば細菌感染をコントロールすることができるかもしれない。

勝負はP根の根切が可能か?だ。

ではこのP根を根切するのにあなたはどのような方法で行うだろうか?

口蓋にフラップを開けてP根の根尖部を切除…

考えはいいが、この厚い皮質骨を切除するのは至難の技であろう。

もっと楽にできる方法はないだろうか?

頬側の歯根に注目して欲しい。

#3に関しては歯根が頬側に大きく露出しているのがわかるだろう。

そうである。

MB, DBはもはやペリオの問題?もあって根が大きく露出しているのだ。

であれば、鍵になるのは口蓋根をどうやって抜くか?である。

口蓋根にアンダーカットになり得るような解剖学的要素はあっただろうか?

私には何も見当たらない。

ということはこの歯は抜歯が可能であるということを示している。

しかし…頬側の歯根(MB, DB)は大きく露出する可能性がある。

このことを術前に患者さんには説明し、同意を得たためこの日に#2に続いて#3のIntentional Replantationも行われた。

歯内療法学的診断は以下である。

#3

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Intentional Replantation

まず治療前にレジンコアとファイバーポストで支台築造しなおし、その後にIntentional Replantationが行われた。


☆以下、臨床的な動画/写真が出てきます。気分を害する方は試聴をSkipしてください。


#3 Intentional Replantation① 脱臼・抜歯(2022.12.8)

まず歯牙を脱臼させ抜歯した。

次に抜歯窩をCheckした。

抜歯窩に残根は見られなかった。

次にIntentional Replantationの本編に移る。

#3 Intentional Replantation② Apicoectomy(2022.12.8)

切断後にメチレンブルーで染色して逆根管形成した。

#3 Intentional Replantation③ Retroprep(2022.12.8)

3mm~4mm長さを測定しながら形成を行った。

最初、極細バーを使用していたが途中でリンデマンバーに変更している。

振り返ると…

無駄なことをしていた。

極細バーはMB根のようなイスムスの削除には使用して意味があるが、このように大きな口蓋根で使用しても時間の無駄な気がした。

もっと時間を節約したいそこのあなたはリンデマンバーで最初から行くべきだろう。

ということで最終的に逆根管形成した。

#3 Intentional Replantation④ Retrofilling(2022.12.8)

確認でPAを撮影した。

問題はないと判断した。

最後に抜歯窩を生食で洗浄し、抜いた歯を戻して終了した。

最後にPAを撮影した。

#3 Intentional Replantation後 PA(2022.12.8)

次回は1ヶ月後に経過観察である。

その際の模様をまた報告したい。