紹介患者さんの経過観察。
2022.8.4に#9 Apicoectomyを行っていた。
そこから時間が9ヶ月経過していた。
そもそもは、歯髄を保存した治療を紹介先の歯科医院で行っていた。
なぜそういう治療をしたか?といえば、
神経を取ると歯が脆くなるから
と信じていたためである。
治療の詳細は以下である。
#9 RCT(2020.8.12)
歯内療法学的検査
#8 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
Cold testに反応がなく、Sinus tractもある。
この時点で#9は失活していることが考えられる。
PAを撮影した。
露髄寸前で充填している。
根尖部には病変も見えるだろう。
そしてSinus tractもある。
この時点で、
Chronic apical abscess
であるが、
それは大人の歯にDirect Pulp Cappingをしてるからで、仕方がない。
成功率は30%程度しかないからだ。
詳細は夏に以下のセミナーで述べます。
ということで、歯内療法へ移行した。
紹介元の先生は私の教え通り、ファイル試適&ポイント試適もしていた。
(そんなことは、アメリカの大学院でしかしないだろう)
問題ない位置にファイルはある。
そのまま根管形成し、ポイント試適した。
Length Controlもきちんとできている。
根管充填した。
Single PointでBC sealerを使用している。
私が教えたことがある先生であるので、私が使用している器具を使用しての歯科治療であった。
いい位置で根管充填材はカットできている。
側枝にも根管充填できて大満足です(実際はシーラーがたまたま入っただけだが)、ありがとうございます!と称賛された。
ここからこの先生は経過を追う。
時間は1年経過していた。
#9 RCT 1yr later recall(2022.5.21)
PA的には問題がないが…
Sinus tractが消えないでいた。
1年経過したのに、である。
CBCTもこの先生は撮影した。
#9 RCT 1yr recall CBCT(2022.5.21)
根尖病変は消失していない。
側枝に迷入したBC sealerは消失している。
根尖病変と思しき透過像はない。
ということでこの歯の治療の失敗の原因はなんであるか?
だが、
ここまで太く拡大(かかりつけ医に聞くと#50.03まで拡大)して根充しても問題が解決できなければ、Apicoectomy一択である。
ということで、当歯科医院に紹介された。
当歯科医院でも検査を行うと、以下のようであった。
歯内療法学的検査(2022.8.12)
#8 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
根尖病変部位を触ると圧痛があった。
歯槽骨が開窓していることをこれは示している。
ということで当歯科医院でApicoectomyに移行した。
#9 Apicoectomy(2022.8.12)
治療は数十分で終了している。
ここから時間が経過したので本日その模様をお伝えしよう。
治療から9ヶ月が経過していた。
#9 Apicoectomy 9M recall(2023.4.21)
歯内療法学的検査(2023.4.21)
#8 Cold+2/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(±), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
術前に存在していた圧痛, Sinus tractは消失した。
が、圧痛はあるような無いような…という感じだそうだ。
Opeでパピラベースで切開しているがその傷跡もない。
ペリオの患者じゃないから,そういう心配をしなくていいからだ。
PAを撮影した。
#9 Apicoectomy 9M recall PA(2023.4.21)
術後にあった歯槽骨の欠損は回復しているように見える。
CTも撮影した。
#9 Apicoectomy 9M recall CBCT(2023.4.21)
Palpationに反応があるような無いような微妙な感じなのは、歯槽骨の回復がまだ途中だからだろう。
あと数ヶ月すればそうした違和感は解消されると思われる。
術前、術後を比較した。
ということで次回はさらに半年後の2023.10にRecallするのでその模様を少々お待ちください。