紹介患者さんの治療。

当歯科医院の紹介先はもう定着しているが、

その中でもかなり多い(うちの歯科医院で一二を争う紹介の量)が、

熊本の

けやき通り歯科・矯正歯科(西村幸郎院長)

である。

熊本からわざわざ来るのか?と言えばかなり多い人数の患者さんがやってきている。

西村先生は、私が倒れた時も病院まで来てくれた先生である。

彼に背を向けて私は寝れない。

ということで、この患者さんの主訴は

左側の奥歯で物を噛むと痛い

であった。

歯内療法学的検査(2023.5.12)

#18 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#20 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴は再現できていた。

適切な治療をすれば主訴を改善できる可能性は高い。

PA(2023.5.12)

ファイルが根尖部のカーブの先で破折している。

これを非外科的に除去しようとすると、歯根に穴が開くことは過去の論文で示されている通りだ。

マイクロRe-RCTマンツーマンコース2021年11月編〜破折ファイルの除去がもたらしたものとは?

CBCT(2023.5.12)

オトガイ孔は術野からかなり外れた場所にある。

神経損傷による麻痺の可能性はまずないだろう。

安全に外科治療はできるはずだ。

M根のApexの位置を確認した。

Apexの位置はCEJから11mmの位置である。

Apexから3mmで切断すると、

頬舌的に深さ4.5mmの切断で済む。

リンデマンバー(全長11mm)の半分以下だ。

これは口唇が固くなければ非常に安易な外科治療である。

恐らく30分で終わるだろう。

このように、

ものの長さや大きさを知ることは歯内療法臨床で非常に重要である。

このように

外科治療は実際の症例からしか成長因子がない

模型では上達しないのである。

教科書を眺めていても、無駄だ。

費用をかけて適切なメンターに指導されない限り成長は見込めない

だろう。

私はUSCに4,000万払ったけど。

歯内療法学的診断(2023.5.12)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy(Mのみ)

近心根のみをApicoectomyする計画で治療が行われた。


☆外科的動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。


#19 Apicoectomy(2023.5.12)

口唇が柔らかい患者であったので2歯近心から治療をスタートさせている。

#21の近心に縦切開を入れてスタートした。

フラップを開いて近心根歯頚部より11mmの位置を定めた。

Osteotomyをしなければいけない部位はどこだろうか?

近心頬側歯頚部直下にApexがあるようだ。

長さは11mmである。

歯槽骨は

数mm掘ればApexは出てくるだろう。

そこを頬舌的に4.5mm切断すれば手術は完了する。

上記動画で歯頚部よりも11mm直下の位置を定めた。

Osteotomyを行い、Apexの位置を把握した。

ここで深さ4.5mmでRoot Resectionを行なっていく。

メチレンブルーで染め出してきちんと切断できているかどうか?確認する。

ここが一番重要?だ。

丁寧に切断して、残渣物を残さないようにして逆根管形成へ移行した。

ここが(Gutta Percha Pointの残渣を逆根管形成で除去するのが)一番時間がかかると言っても過言ではない。

誰かもっと簡単にGutta Perchaを除去できる道具を開発してくれないだろうか?といつも思う。

Lid techniqueで逆根管充填した。

PAを撮影した。

問題ないと思われる。

縫合して終了した。

次回は1年後に経過観察を行う。

それまで少々お待ちください。