今週末、福岡市内某所でマイクロRe-RCTマンツーマンコースが行われた。

受講生は1人。

昨日・今日と2日間を通じてこの受講生が学んだ最大の学習効果を皆さんに伝えたい。

それは破折ファイルに対する対策である。

今日の受講生は根尖部でわざとファイルを破折させて実習で持参してきた。

しかしこれには大きな問題が隠されている。

この実験と同じように、彼は破折ファイル(Ni-Ti Rotary File)を超音波で一生懸命彼は除去を試みていた。

除去を試みること1時間…

彼は破折ファイルを何とか除去できたがオマケがついてきてしまった。

①レッジの形成

このIn vitroの実験の通り、彼はレッジを根管に作ってしまった。

そしてもう一つの悲劇が起きる。

超音波で形成するために、歯質が削除されやがて歯質は薄くなり、結果破折ファイルの除去はできたものの、根尖部に穿孔を作ってしまった。

つまり、

②破折ファイルを除去しようとしたら、根が穿孔したのである。

ミイラ取りがミイラになってしまったのだ。

根尖部を破壊すると歯内療法の予後は急速に悪くなることは多くの論文で知られている通りである。

またここから彼は以下のような結論を導き出した。

”根尖部のカーブを超えて破折したファイルは外科的な除去が一番”

私は彼のこの意見に大きく同意する。

あなたが器用な人ならいいだろうが、歯科医師が全員器用とは限らない。

私のような不器用な人間もいるのだ。

その人間が器用に破折ファイルを超音波で除去することはできない。

なぜ外科治療をしないのか?と言えば、経験がないからだ。

経験がないのであれば、ある人に紹介すればいいだろう。

そうしたところも日本の歯科界の問題を秘めていると言える。

今日の参加者はこの論文から得られた結論を生涯忘れないだろう。

1時間かけてトライしたのに根尖部に穿孔が…

居た堪れないが、これを勉強としていただければトライした意味はあっただろう。

もっと歯科医療を常識的に捉えてみてはどうだろうか?