バイト先での治療。
患者さんは50代男性。
主訴は左下奥から2番目の歯の根元が痛くてリンパが腫れた。(今は痛みがないが…)
であった。
歯内療法学的検査は以下になる。
#18 Cold +3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)
#20 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Pocket(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる(歯が長くてPAを前歯と同じように縦に撮影した。)
CBCTは撮影していない。
外科治療でないので特に必要ないだろう。
歯内療法学的診断は以下になる。
#30 Pulp Dx: Previously treated, Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT+Core build up
と言うことで治療の利点欠点、予後不良の場合は外科治療へ移行することなどを説明し、同意を得て歯科治療となった。
しかしこの方は、
外国人か!と言うくらい歯が長い。。。
USCで治療した東欧の患者を思い出してしまった。
クラウン、ポストコアを除去し、遠心に少しだけレジンで隔壁を形成した。
その後、ラバーダムを装着し再根管治療を行なった。
治療結果は以下になる。
穿通はDのみにしか起きなかった。
穿通させるとD根からは排膿が見られた。
この歯の痛みはD根が原因だった、と想像できる。
しかしながら、ML,MBは穿通できなかった。
根尖病変はM根にはおそらくないと思われるので、穿通を是が非でもする必要性はなかっただろうが…
ちなみに穿通させる努力はしている。⇨https://fukuoka-endodontics.com/?p=4222
ポイント試適した。
問題ないと判断し、根管充填を行うことにした。
その後、レジンで支台築造を行い以下のようなPAを得られた。
シーラーパフが遠心根は見られている。
シーラーパフとはシーラーが出るところが根尖病変部しかないのでそこにシーラーが若干はみ出ることを言う。
いわゆる、
Over fillingの状態
である。
Over extensionはGutta Perchaがオーバーで根充された状態のことを指すのでこの場合は当てはまらない。
いずれもUSC的な?西海岸的な?考え方かもしれない。
詳しくは、Schilderの論文を参考にしていただきたい⇨Schilder 1967/2006 Filling root canals in three dimensions
と言うことで再根管治療は1回で終了した。
次回は、#20の再根管治療を行う予定である。
さて、前回ご報告した症例と何が違うだろうか?
前回は穿通することができたが今回は無理であった。
その違いは何にあるだろうか?
と言えば、メカニカルグライドパスである。
今回はメカニカルグライドパスしたが穿通ができなかった。
(この言い方が正しいのかどうか?私にはわからないが。誰かご存知の方がいれば私にご教授願いたい。)
前回は穿通ができた。
そこが違う。
細かいことであるが、歯内療法には大きな戦法と言えるだろう。
細かい情報を知りたい先生は、2022のBasic Courseで解説するので宜しくお願いいたします。