紹介患者さんの治療。
主訴は
2ヶ月前から右上奥歯でものを噛めない。
である。
歯内療法学的検査(2024.2.9)
#4 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#5 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#5には咬合痛がある。
ここが患歯だろう。
また、圧痛の存在は頬側の皮質骨が穿孔している可能性がある。
PA(2024.2.9)
すでに治療が終了してあるが…トランスポーテーションしているように見える。
紹介元曰く、
根管形成を#40まで既に行っているという。
ということは…
再根管治療での根管形成の修正は不可能だ。
したがって治療は、Apicoectomyだ。
が、この意味不明のピンを除去する必要がある。
CBCT(2024.2.9)
頬側の皮質骨が抜けているのが、Palpationに反応する原因だろう。
また咬合痛もこの根尖病変が原因だ。
ここを治癒させなければならない。
外科になれば、
近心に傾斜しているApexを3mm切断する。
CEJより11mm下方にApexはあり、
頬側の皮質骨は既に穿孔しており、容易に見つけられることがわかる。
その上で、
頬舌的に5.5mm切断すると歯根を綺麗に切断できることがわかる。
また1根管性なので容易に逆根管形成・逆根管充填できる。
逆根管形成は、臨在歯と平行にすればいい。
これは…非常に容易な外科治療で(事実上の前歯のApicoectomy)、ほとんど時間がかからないだろう。
歯内療法学的診断(2024.2.9)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Core build up with Fiber post→Apicoectomy
治療は、まず支台築造し、別日にApicoectomyだ。
ということで、同日に治療へ移行した。
☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#5 Re-RCT(2024.2.9)
ピンを除去し、支台築造した。
別日に外科治療が行われた。
#5 Apicoectomy(2024.4.9)
Apexを発見し、Root resectionした。
その際に、切断部の形態は上記の画像通りになっただろうか?
Root resectionに問題がないことがわかる。
RetroprepしてRetrofillingした。
術後にPA, CBCTを撮影した。
問題はないだろう。
縫合して終了した。
ちなみにこの治療に必要な時間は15分であった。
実にEasyである。
ということで、次回は1年後である。
また詳細をお伝えします。