患者は61歳男性。
前の歯科医院に紹介で来院された。(2018.12.11)
その処置後3年経過時をリコールで追ったものである。(他院にてリコールしている)
主訴はここ数ヶ月、その歯(#15)で咬合するとひどく痛い。現在治療途中だが…というものであった。
歯内療法学的検査は以下のようになる。
#14 Cold N/A, EPT N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Pocket probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold N/A, EPT N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Pocket probe(WNL), Mobility(WNL)
PAを撮影した。
根尖病変がある。そして根管は既に大きく拡大されている。
歯内療法学的病名は以下になる。
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
根管治療を行うたびに口蓋根から排膿が止まらないらしい。
既に根管形成が大きくなされており、テーパーも付与されている。
この状態では流石に再根管治療を行なっても勝ち目はない。
ということで、このホームページではおなじみ?のIntentional Replantationを治療の第1選択肢として提示した。
患者さんは同意したため治療は行われた。
抜歯前に支台築造し、ラクスエーターで脱臼させ口腔外で歯根端切除、逆根管形成、逆根管充填を行なった。
問題ないと判断し、抜歯窩へと戻した。
それから時間が経過し、ここで私は倒れてしまったので予後が追えなくなったが、この歯科医院の先生が3年後の予後でPAを撮影してもらった。
それが以下の状況である。(2021.3.10)
アンキローシスを疑うようなmetalic soundもない。
患者さんと話したが、処置した部分には何の問題もないとのことであった。
感想は特にないそうだ。
まあこれがこの年代の歯科治療には興味がない?男性の患者さんの一般的な??特徴???なのかもしれない。
ということで、Intentional Replantationは最終手段としてまたしても機能した。
このブログを読んでいる、歯内療法の問題に困っているあなたにもこの処置がもしかすると必要になるかもしれない。
それともそんな気持ち悪いことはできないと拒否するだろうか。
ちなみに成功率は90%ある。
歯科治療の処置の中でも極めて成功率が高い。
しかし、一定期間アンキローシスは出る可能性があるので経過観察が必要である。