バイト先での治療の経過観察。
以下の記事が8ヶ月前である。
あれから8ヶ月が経過した。
今までを簡単に振り返ろう。
バイト先での治療。
主訴は
#19 咬合痛
であった。
歯内療法学的検査(2022.12.20)
#18 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#20 Cold+2/5, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が検査で再現できている。
と言うことは適切な治療を行えば、治癒する可能性が高い。
PA(2022.12.20)
Mは根尖まで深く根管充填がなされている。
Dはややアンダー気味だ。根尖病変があればこちらは再根管治療でいいかもしれない。
分岐部の病変も髄床底の側枝が原因であればコアをやり直した時に根管洗浄を行えば治る可能性が高い。
エンドが原因であれば、だ。
CBCT(2022.12.20)
M根
分岐部に病変ができている。
ペリオ由来か?エンド由来か?といえばどちらかはわからないが、次の画像で全てを物語っている。
分岐部でStripping Perforationさせている。
前医は根管治療の仕方が分からなかったのだろうか?
それとも目が見えなかったのだろうか?
いずれにしても何度も言うが、
自分でできないならできる人に紹介する
べき案件である。
オトガイ孔、下歯槽神経は#19 Mの根尖部より遥か下方にある。
治療で事故が起きることはほぼないだろう。
そして、近心根にも遠心根にも根尖病変がある。
が、
遠心根は根管形成・根管充填があまい(Foramenからかなり遠い)ので再根管治療でどうにかなる可能性が高い。
分岐部の穿孔は非外科的な治療時に咬合面から修復する(と言ってもBC sealerを充填してBC puttyを詰めるだけ)か外科時に修復するかどちらかだ。
近心根は切断が必要である。
次が遠心根である。
D根
ここは再治療でマネージメントできるかもしれない。
ということで診断は以下になる。
歯内療法学的診断(2022.12.20)
#19
Pulp Dx: Previously Treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: D根⇨Re-RCT⇨M根のみ Apicoectomy
☆この後、臨床画像/動画が出てきます。気分を害する方はSkipしてください。
再治療でまず遠心根を根管充填し直した。
その後、別日にApicoectomyを行った。
#19 Apicoectomy(2022.12.22)
口角がかなり硬いので縦切開は#22の近心に入れている。
広範囲なフラップで術中のフラップの反転をやりやすくさせようと言う計画だ。
そして#19のM根を切断し、逆根管形成を行った。
が、予想通り極めてやりにくい…
しかもこの際、
前歯部用の逆根管形成チップしかなく治療が極めてやりにくかった。これからは私が道具の在庫管理を含めて行う予定である。
と言うように、治療に極めて時間が多くかかる案件である。
この後、逆根管充填して縫合し治療は終了した。
これがうまくいくかいかないか…
正直、Retro-fillingが浅い…
が、結果は半年経たないと分からない。
ということで、次回は半年後の2022.6である。
ということで記事は終わっていた。
あれからこの患者さんはどうなっただろうか?
実に8ヶ月という事件が経過していた。
#19 Apicoectomy 8M recall(2023.8.22)
主訴の咬合痛は消失していた。
その他も問題はない。
PA(2023.8.22)
CBCT(2023.8.22)
近心、遠心の根尖病変は消失していた。
術前の分岐部病変も消失している。
近心の病変はほぼ治癒している。
遠心は完全に消失しているように見える。
半年という時間は病変を治癒させるのに十分な時間だったのだろう。
治療前後を比較してみた。
治療時(2022.12.20)vs 8ヶ月経過時(2023.8.22)
次回はさらに4ヶ月後の2024.1にこの方のRecallを予定している。
またその模様をお伝えいたします。