紹介患者さんの治療と1ヶ月, 2ヶ月時の経過観察。
主訴は、
右下の奥歯が痛くて噛めない。歯茎も腫れている…
であった。
歯内療法学的検査(2023.5.15)
⭐︎この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(-)
#31 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#31はすでにセラミック冠(ジルコニアベースのオールセラミッククラウン)が装着されていた。
得てして、こういう治療の内部はひどいことが多い。
またSinus tractがある。このことは…外科治療に移行する可能性を含んでいる。
根尖孔外細菌感染の可能性があるからだ。
もし外科なら…メタルポストコアなどが装着されているか?がポイントだろう。
そして除冠した際に歯質がなければ…同日にIntentional Replantationはできない。
ともかく、PAを撮影した。
PA(2023.5.15)
遠心にはエナメル質が見える。
ということは…
歯質は管理残存している可能性が高いだろう。
同日にIntentional Replantationができるかもしれない。
CTも撮影した。
CBCT(2023.5.15)
根尖部がすでに太く根管形成&根管充填されていること、
根尖病変があり、骨空洞があること、
C-shaped canalでアイスのコーン状の形態であること、
3mm切断しても7mmの歯根が残ること、
から
抜歯は容易である、と考えてIntentional Replantationを提案した。
患者さんは
絶対に抜歯は嫌だ!ということで、治療計画に同意された。
(Intentional Replantationで抜歯はするのだが、戻すのでそこは受け入れらるようだ。)
なお、歯質がなければIntentional Replantation時にレジンが脱離するので、その際はIntentional Replantationは別日に行うことになった。
が、患者さんの私的な都合(第1回目の治療時間が私的な都合でそれほど取れないという問題)で双方を分けて治療を行うことになった。
歯内療法学的診断(2023.5.15)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Core build up w/wo Fiber Post→Intentional Replantation
ということでまず支台築造を、その後、別日にIntentional Replantationを行うことになった。
⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。
#31 Core build up w/wo Fiber Post(2023.7.3)
まず除冠し、内部をCheckした。
ラバーダムをかけて支台築造した。
術後にPAを撮影した。
この後、別日にIntentional Replantationを行うことになった。
#31 Intentional Replantation(2023.7.10)
抜歯窩をCheckした。
メチレンブルーで染め出し破折の有無をCheckした後、抜歯した歯の根尖部3mmを切断した。
根切後にメチレンブルーで再度染色し、バーで逆根管形成した。
その後、逆根管充填してPAを撮影した。
問題はないと思われる。
抜歯窩に再植した。
ということで、ここから経過を追う。
まず1ヶ月目に経過を見せてもらった。
#31 Intentional Replantation 1M recall(2023.8.22)
この際は検査等はしていない。
動揺がないか?痛みがないか?の確認である。
状況は以下の通りであった。
何も問題がないという。
歯牙の動揺がいつまで続いたか?聞くと、
“1週間程度”でした
という回答であった。
術前の臨床症状=Sinus tract(+), Perc.(+), Palp.(+), BT(+)は消失した。Tooth MobilityもWNL(Within Normal Limit)であった。
2ヶ月後に再度来院していただいた。
#31 Intentional Replantation 2M recall(2023.9.11)
検査を行った。
全ての検査に対して1ヶ月目と同様、陰性であった。
初診時の
Sinus tract(+), Perc.(+), Palp.(+), BT(+)は消失した。Tooth MobilityもWNL(Within Normal Limit)のままであった。
2M recall PA(2023.9.11)
根尖部の透過像はだいぶ改善したことがわかるだろう。
Intentional Replantationは現時点では問題なく経過していると言える。
この日、患者さんにどれくらいの時間で動揺が無くなったか?改めて聞いた。
1週間くらいで動揺は収まりました。今は全くどうもないです!本当にすごいです…ありがとうございました!!
後程、この件に関しては詳細を述べたいと思う。
えっ?もう述べたんじゃないか?って??
いやいや、実はどういうことか?といえば、
患者は私自身なのである。
私自身の治療の模様(根管治療→Intentional Replantation)をこのブログ上でご報告しよう。
治療をするまでには、まだ時間(期間)がありますので、その模様(Intentional Replantationしてどういう経過で治癒していくか?等のご報告)は少々お待ちください。
ということで2M recallは無事終了した。
次回はさらに4ヶ月後の(Intentional Replantation後, 半年後の)2024.3にIntentional Replantation 6M recallを行う予定である。
またその模様は報告したい。