紹介患者さんの治療。
主訴は、
1ヶ月前に歯茎が腫れた。その後、ニキビのようなできものができたが引いたりまた出たりくりかえしている…問題であれば、きちんと治したい
であった。
歯内療法学的検査(2023.10.15)
#28 Cold+2/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#29 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#30 Cold+2/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#29はクラウン(PFM)が装着されているが問題があるようだ。
PA, CBCTを撮影した。
PA(2023.10.15)
#29の遠心部に病変がある。
ここが問題部位だ。
また、#30には
Asymptomatic irreversible pulpitisではないか?!というレベルの歯髄保存療法がなされている。
石灰化し、根尖病変ができないことを祈るのみだ。
CTも撮影した。
CBCT(2023.10.15)
B
オトガイ孔は#29のはるか底部にある。
#29が2本でオトガイ孔…というイメージだ。
オトガイ孔を傷つける可能性は極めて低いだろう。
つまり、このApicoectomyで医原的な麻痺は出ないだろうということがわかる。
M
CEJからApexまでは10mmであった。
#20の歯根までが1.8本でオトガイ孔…
何度も言うが、これで外科治療でトラブルは出ないことがわかる。
Apexから3mmで切断すると以下のようになる。
O
5.7mm切断すれば綺麗にカットできる。
周囲に隣在歯もないので容易に根切できる案件だろう。
歯内療法学的診断(2023.10.15)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Core build up with Fiber Post→Apicoectomy
ということで、治療は
①まず支台築造しそこでVRF等がないか確認する
②なければ、Apicoectomyを行う
の二本柱である。
患者さんは治療計画に同意した。
同日、Core build upに移行し、別日にApicoectomyとなった。
⭐︎この後、臨床動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#29 Core build up with Fiber post(2023.9.21)
メタルポストコアの除去方法を聞かれることがある。
以下の動画がその答えになる。
ポストに一つ付きのコア部分の大部分を除去(=ポストにひと続きのコアの状況だけにする)し、コアのセメントラインを全周出す。
そしてそこに超音波を当てると除去ができる。
教科書通りだ。
その後、カリエスを除去し、ラバーダム防湿した。
そして支台築造していく。
この後、かかりつけ医にプロビジョナルレストレーションを装着していただいた。
別日にApicoectomyが行われた。
#29 Apicoectomy(2023.10.16)
まず#29のApexを探索する。
CBCTによれば、#29のクラウンマージンよりも10mm底部にApexはあるはずだ。
この骨の先行部分に#29のApexはあるはずだ。
同部をOsteotomyした。
するとApexが顔を出したのがわかるだろう。
このApexから3mmの長さを切断する。
リンデマンバーを定規のように使うのがポイントだ。
その際、頬舌的に6mm削らなければならない。
その際、周囲に傷害となる因子はないようだ。
もう一度、CBCTに戻ろう。
しかし、これを頭に入れても6mm削るのは至難の技だ。
それゆえ、術前に以下のようにバーに印をつけておくことを推奨する。
このペンで印をつけた部分まで頬舌的に削合すればいい(頬舌的に6mm削合)のである。
ということで、3mmこの深さで削合した。
Apicoectomy(Root resection)である。
切断は小拡大(×4倍程度で)、詳細の把握は若干強拡大(×6倍~10倍程度)でみる必要がある。
メチレンブルーを使用し、若干強拡大で観察した。
1根管性だ。
側枝や複根管はない。
逆根管形成した。
Lid techniqueで逆根管充填した。
PAとCBCTを撮影した。
Post-op PA
Post-op CBCT
B
M
問題はないと思われる。
縫合して終了した。
次回は抜糸で、その後6M後にリコールである。
また、その模様を報告したい。