紹介患者さんの治療。
主訴は、
咬合痛がある…治療してからずっと続いている…。。。
であった。
この患者さんの歯科治療歴は以下である。
<歯科治療歴>
今年の3月から根管治療をしている。が、痛みが取れない。
1~2週間ごとに薬を交換している。(この時はキャビトンで仮封中)
ラバーダムを使用した根管治療は受けたことがない。(それが重要なのだ、ということは治療になっておかしい…と思い、ネット検索すると理解ができたが、時すでに遅し、であった。。。)
噛んだ時に痛みがある。
最初の歯科医院では半年ほど薬を交換していたが、全然良くならず、担当歯科医師に聞いても
“何でかなあ…だんだん良くなるはずなんだけどね。。。”
と言われて治療は終了しなかったという。
1~2週間ごとに薬を交換する意味は何だろうか?
噛んだ時に痛みがあるのはどうしてだろうか?
半年も貼薬をし続ける理由は何だろうか?
このように根管治療の問題で悩んでいる方へ。
保険診療では根管治療はできない
ということがわかりますか?
もしできるのであれば、その方が全ての患者を診たらいいだろう。
そして…“気の毒”としか言いようがない、歯科治療人生だ。
このことからも、
歯内療法は保険で行うことは不可能
ということが身に染みて分かっただろう。
経験しないとわからないが、経験したくもない。
このBlogをご覧の?患者さん。もう諦めましょう。あなたがいくらネットで検索してもそういう歯科医院は出てきません。
いい治療を受けてください、Good luck!!としか、もはや、言いようがない。
歯内療法学的検査(2023.10.13)
#18 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴は再現できた。
咬合痛は確かに酷かった。
が、主訴は再現できている。
“適切な”
治療を行えば、問題が解決する可能性が高い。
PA(2023.10.13)
咬合痛が続く!という割には根尖病変がない。
根管形成は近心も遠心も十分になされている。
これを再根管形成で修正することは不可能だろう。
頭が痛い…
Intentional Replantation一択だ。
CTも撮影した。
CBCT(2023.10.13)
MB+ML
MLにも根管があるが…形成されていない。
前医は見落としていたのだろう。
が、
ラバーダムもなく、マイクロスコープもなければそうなるに決まっている。
歯内療法は誰にもできる、“手遊び” ではないのである。
多くの将来の患者さん候補の人たちへ…
もう、いい加減、気付きましょう。
あなたが “保険診療” でラバーダム+Ni-Ti File+マイクロスコープを使用した、歯内療法を受けているとすれば、それは“練習台”です。
そしてその鍛錬の時間が終わると、その歯科医院は急に、自由診療になります。
しかし、それは悲しい別れではないのです。
当たり前の経済活動をしようと、その歯科医師が理想へ戻るだけなのです。
誰にも、批判する権利はありません。
あなたに必要なことは、現状を理解することです。
D
遠心根もすでに大きく形成されている。
根尖部の歯槽骨はCondensing Osteitis状だ。
このことは前医の根管治療に問題があることを示している。
またそれ以上に重要な事実は、
この根管形成+根管充填では、
再根管治療に効果はない
という事実をどれくらいの歯科医師が知っているだろうか?
もはやそれを期待することもこの国では無意味な事なのだろうが。
歯内療法学的診断(2023.10.13)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Core build up→Intentional Replantation
治療はIntentional Replantation一択だ。
こんな歯、抜けるのか?
そういう質問がきっと来るだろう。
が、可能である。
理由は以下だ。
①歯根の形態がアイスのコーンのような形態+根尖病変も存在
②また隣接歯に#19が存在するので、それを“梃子にして”抜歯が可能
という事である。
私の話が事実か?は以下の動画を見て判断してほしい。
大臼歯は(第2大臼歯は)、第1大臼歯があれば脱臼して抜歯が可能である。
ということで、同日に外科治療へ移行した。
⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#18 Intentional Replantation(2023.10.13)
動画を見ていただくと、#19を梃子にして抜歯している様子がよくわかると思う。
抜歯までにかかった時間は2分半である。
(上記動画は、倍速せずに投稿している)
なお、これ以外に、Intentional Replantationを時短させる方法はない。
脱臼させて抜歯した関係で、#19のInlayが脱離してしまっている。
(これは治療後、歯牙に戻している)
抜歯後、抜歯窩に落とし物がないかどうかを確認した。
落とし物は確認できなかったので、ガーゼを咬合させた。
この後、口腔外での処置が行われる。
まず、口腔外で支台築造した。
ラバーダムせずにしたいなら…抜歯して口腔外でやれよとアドバイスせずにいられない。
その後、メチレンブルーで染色して破折がないか?確認した後、Apexから3mmをRoot resectionし、切断面をメチレンブルーで染色した。
MLが未形成であるのがわかる。
そこは逆根管形成が必要だ。
ということで逆根管形成した。
MLも形成しているところがポイントだ。
3mm逆根管形成ができたか?を確認しながら逆根管形成した。
問題はないだろう。
窩洞を乾燥し、Lid Techniqueで逆根管充填した。
PAで状況を確認した。
問題はないと思われる。
口腔内へ再植する前に遠心に付着していた歯石をスケーリングで除去した。
え、エンド前にペリオの治療はダメでしょ?って??
スケーリングはペリオの治療だと私は思わない。
それはSRP(ルートプレーニング)のことだと思われる。
抜歯窩を生食で洗浄して、歯牙を再植した。
再植後にPA, CBCTを撮影した。
CTも撮影した。
M
D
問題はないと思われる。
次回は1ヶ月後である。
また状況をお伝えしたい。