紹介患者さんの治療。
主訴は、
右上奥歯の痛み。歯茎が腫れているような感じがする
である。
以前の記事の続報である。
歯内療法学的検査(2023.9.14)
#2 Cold+5/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+, DB部), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#4 Cold++1/16, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3のDB根の根尖部, #4の根尖部を触れると痛みがある。
これは、
根尖病変が頬側に抜けている可能性
を示している。
詳細はCBCTで把握することにする。
PA(2023.9.14)
#3は生活歯髄療法がなされている。
石灰化も起こっているだろう。
そこに病変があれば…根管治療はできない。
CBCT(2023.9.14)
#3
MB
断髄を行なっているのでMBは石灰化が進んでいる。
MB1は何か見えるが…MB2は。。。
見当たらないかもしれない。
が、根尖病変が見当たらない。
ということは、
必ずしもMB2を見つけなければならないわけではない
だろう。
こういうところが、
“考えるポイント”
である。
言い換えれば、
“臨床力”
だ。
が、それが予想できても…
人の命には関わり合いがないけども。
DB
DBには根尖病変があり、歯槽骨から抜けている。
根尖部の圧痛がある=Palpation(+)
とは、根尖病変で頬側の皮質骨が破れて穿孔していることを彷彿とさせる
ということは覚えておくべき事柄だろう。
事実、検査ではDBの根尖部分に圧痛があった。
このことは、頬側の皮質骨が溶けているのだろうということが予想できる。
私の予想は当たっていた。
また、
シーラーが逸出すると(シーラーパフが起きると)違和感が…と長く言われる可能性が高いのでこうした症状がある場合はそれを引き起こさないような形で処置をした方がいいと私は考える。つまり作業長は、RIL-1.0mmの方が無難だろう。
ということでDBはRIL-1.0mmにして治療を行うことにした。
P
Pにもわずかに根尖部に病変がある。
が、生活歯髄療法で根管が判然としない。
穿通するだろうか?
…
それは…実際に根管形成してみなければわからない。
歯内療法学的診断(2023.9.14)
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT
ということで推奨される治療は根管治療一択だ。
同日、治療へ移行した。
#3 RCT(2023.9.14)
作業内容は以下になる。
SXで根管口部を拡大後に作業長を測定し、MAFを決めて根管形成を行っている。
その模様をあえて公開する必要はないだろう。
術後にPAを撮影した。
問題はないと思われる。
次回は半年後の2024.3に6M recallの予定である。
また状況を報告したい。