紹介患者さんの治療。
主訴は
歯茎が腫れた。歯に痛みはないが…
である。
#13は他院で治療している。
もちろん…ラバーダムなしでだ。
その後、かかりつけ医で管理をしていたが、歯茎が腫れたので紹介された。
以前も#12をRCTしている。
それが以下の記事である。
私のIntentional Replantation日記①…#31 RCT+Core build up 1yr recall
この日は#13のApicoectomyとなった。
まず検査から行う。
歯内療法学的検査(2023.12.13)
#11 Cold+1/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#12 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(?)
#13 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13に痛みがある。
また、#12治療後は以下のようになった。
出来物?が消えない??という。
Sinus tractがそのままか、その痕か?
口腔内を検査した。
⭐︎以下、口腔内動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
これはSinus tractか?と言われれば、私はそうではないと思う。
いずれにしても、根管治療からまだ時間が2ヶ月しか経過していない。
まだ経過を見る必要があるだろう。
また、その理由は以下の記事を参考にしていただきたい。
PA(2023.9.12)
#12 RCT直後 PA(2023.10.12)
CBCT(2023.12.13)
CEJよりも13mm先にApexがある。
ただそこに行き着くには歯槽骨を2.0mm削合しなければならない。
実際の治療では以下のようになるだろう。
Apex発見後に、Apexから3mmでRoot resectionすると、頬舌的に4.7mm切削する必要がある。
リンデマンバーの半分以下の長さである。
実にEasyだ。
しかも左上の小臼歯だ。
#11の近心にHockey stickを入れて#14まで切開すれば問題はないだろう。
ということで診断は以下になる。
歯内療法学的診断(2023.12.13)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess(Symptomatic apical periodontitis with Sinus tractという病名はないがこれに最も当てはまる?だろう)
Recommended Tx: Apicoectomy
ということで、#13のApicoectomyをすることになった。
☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#13 Apicoectomy(2023.12.13)
#13のApexはCEJよりも13mm下方にある。
ペリオプローブでその位置を推定した。
下の動画の位置にあるに違いない。
そこを切削した。
すると…Apexが出てきた。
そこから3mmの位置でApexを切削した。
その時の深さは頬舌的に5mmは担保しないといけない。
根切後に骨窩洞内にRacelletを填入し、止血を図った。
この際、Racelletの個数をカウントし、アシスタントと共有しておかなければならない。
その後、Racelletを最後の一つだけ残し、その他を取り去り、メチレンブルーで染色した。
するとその際の断面は以下のようになるはずだ。
が、得られた絵は以下のようだ。
これが意味することは…
恐らく、Root resectionにベベルが付いたのだろう。
これを修正するか?しないか?だが…
①修正すれば、時間と共にBleedingが…すると処置ができなくなる。
②修正しなければ、深く逆根管形成をしなければならない。
さて。
あなたはどっちを選択するだろうか?
私はこの際、②を選択した。
理由は、
この方の口角が硬く、再度修正してもベベルがさらにつき、修正が理想的にできない可能性があるからだ。
ならば…深くRetroprepした方がマシだ。
ということで、深くRetroprepすることにした。
B,P共に超音波スケーラーのチップが全て埋まるように形成した。
その後、窩洞を乾燥し、BC sealer, BC puttyでLid techniqueで逆根管充填した。
術後にPAを撮影した。
その後、CBCTも撮影した。
問題はないだろう。
最後に縫合した。
縫合する前はこのように滅菌ガーゼに生食を浸したもので歯茎を圧迫する必要がある。
極力、元の位置にFlapを戻したいからだ。
(S先生、これです)
ということでここから縫合した。
この後、抜糸に来られた。
1週間後である。
痛みは全くなかったという。
#13 Suture Removal(2023.12.20)
ということで次回は半年後の2024.6である。
ちなみに#12 RCT(2023.10.12)の治療だがこの2ヶ月で以下のようになっている。
#12のP側はUnder Fillingであるが、上顎洞炎は今の所、治癒傾向にある。
最終的な判断にはまだ時間が必要だろう。
また#12を含めて、半年後にその模様をお伝えしたい。