紹介患者さんの治療。
主訴は、
何をしていなくても歯が疼く。物も噛めない…。。。今まで2回、根管治療をしたのだが…
である。
歯内療法学的検査(2023.12.15)
#29 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#31 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#30には打診痛、咬合痛がある。これが患歯だろう。
PA(2023.12.15)
PAでは#30の遠心根に巨大な根尖病変がある。
ここが問題の可能性が高い。
CTも撮影した。
CBCT(2023.12.15)
近心根に病変はない。
遠心根には#31との間に大きな骨欠損がある。
石灰化もしているので、非外科的歯内療法では穿通しない。
となれば…
Apicoectomyが唯一、行える治療ということになる。
ただ、仮封がしてあるのでレジンで支台築造しなければならないだろう。
歯内療法学的診断(2023.12.15)
Pulp Dx: Previously treated
Previously treated: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Core build up→Apicoectomy(D)
ということで、別日に支台築造して、さらに別日にApicoectomyを行うという治療計画になった。
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 Core build up(2024.1.6)
この後、かかりつけ医でプロビジョナルレストレーションを装着してもらい、Apicoectomyへ移行した。
移行する前に、Apicoectomyのポイントを。
まず、オトガイ孔は術野よりも遥か彼方にあるので外科治療そのもので神経損傷は考えられないだろう。
そしてD根のApexだが、
CEJよりも11.5mm下部にある。
Apexに到達するには、歯槽骨を2.5mm削合する必要がある。
3mm切断すると、頬舌的に7mmの切断が必要だ。
その際、MBとGutta Percha Pointが見えるMLを繋げなければならない。そして利き手と同側の右下。
このケースは時間がかるだろう。
以上を意識して、Apicoectomyを行った。
#30 Apicoectomy(2024.2.29)
ApexはCEJよりも11.5mmの位置にある。
そこを深さ2.3mm削合した。
Osteotomyだ。
その後、Apexを見つけて3mmで切断した。
その後、強拡大して切断不足や切り残しがないかCheckしてメチレンブルーで染色した。
予定通り、DB, DLが顔を出した。
これらをそれぞれRetroprepした。
この時の時短のポイントは、
それぞれをまず3mmの深さRetroprepすることだ。
この際、Gutta Perchaの残渣があるか?など気にする必要はない。
なぜか?どうせ、イスムスで繋げるからだ。その際、容易にGutta Perchaは除去することができる。これは時短を行う上での重要なポイントである。
最後に逆根管充填した。
最後にPA, CBCTを撮影した。
問題はないと思われる。
最後に縫合して終了した。
次回は抜糸で、その次が1年後である。
また状況をお知らせしたい。