紹介患者さんの治療。
主訴は、
治療前はなんともなかったが、治療を開始してから(2023.1~)ずっと歯が痛む。特に歯ブラシを当てた時に他の歯には感じないような痛みがある。
である。
歯内療法学的検査(2023.8.31)
#2 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴は再現された。
#2のようだ。
PA(2023.8.31)


紹介状には、
拡大はすでに#40まで行い、カルシペックスで貼薬中とあることから、再根管治療では主訴が改善しないことがわかる。
CBCT(2023.8.31)
B
P
上顎小臼歯のような#2である。
築造して、再植が濃厚だ。
歯内療法学的診断(2023.8.31)
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Core build up→Intentional Replantation
ということで、推奨される治療はIntentional Replantationである。
同日、まず築造して、外科治療へ移行した。
☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#2 Intentional Replantation(2023.8.31)
脱臼して抜歯した。
口腔外で歯根破折がないか?メチレンブルーでチェックした。
破折は見つからなかったので、口腔外で根切し、逆根管形成、逆根管充填をしていく。

PAを撮影し、問題がないことを確かめている。
再植した。

ここから経過を見ていく。
#2 Intentional Replantation 19days recall(2023.9.20)
最初の1週間は痛みがなかったが、10日目から痛みがあったが、矯正用バンドを外してもらったら痛みが消失した。痛みはそのせいだったのだろうか?ということで急患で来ていただいた。
口腔内を診査した。
対合と以下のように咬合していた。

咬合調整して対合歯と咬合しないようにした。
#2 Intentional Replantation 1M recall(2023.10.1)
痛みはほとんどなくなったという。咬合時の痛みが消失したそうだ。
動揺は消失している。
やはり咬合させないように調整するのが鍵のようだ。
#2 Intentional Replantation 2M recall(2023.11.2)
1ヶ月で安定していたので、プロビジョナルレストレーションを装着してもらっていた。
動揺はない。
痛みも落ち着いているという。
ここから時間を半年おいた。
#2 Intentional Replantation 6M recall(2024.3.29)
症状はほとんどないという(2/10程度)。
口腔内を診査した。
動揺やアンキローシスを疑わせるような初見はない。



治療前後を比較した。

術前の根尖病変はほぼ消失している。
あとは回復までに時間が必要だろう。
次回はさらに半年後の2024.10に1yr recallを行う予定である。
また報告したい。

