今日から1週間は、

Intentional Replantationを行なった症例を中心に解説したい。

紹介患者さんの治療。

主訴は、

左上奥歯の鈍痛。何もしていなくても歯が疼く時があったが、今は落ち着いている…あの痛みをもう味わいたくない。。。

であった。

歯内療法学的検査（2024.3.14）

#13 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#14 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴は再現された。

PA（2024.3.14）

CBCT（2024.3.14）

MB

DB

P

MB, DB, P, 全ての歯根の根尖部に病変がある。

MB,DB,Pともに根管形成・根管充填はかなり太い。

この時点で、外科治療が決定的である。

その外科治療とは、Intentional Replantationだ。

この3根に分かれた歯をIntentional Replantationできるだろうか？

と言えば、

①全ての根尖部に病変がある

②頬側の皮質骨が存在しない

③P根をいかに脱臼させるか？がポイント

であるとわかる。

つまりそれほど難しい抜歯にはならないはずだ。

このことから、Intentional Replantationがベターな治療方法だろう。

歯内療法学的診断（2024.3.14）

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic capical periodontitis

Recommended Tx: Core build up→Intentional Replantation

ということで、同日に支台築造し、

別日にIntentional Replantationが行われた。

☆この後、外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。

#14 Intentional Replantation（2024.4.25）

この歯の抜歯で重要なのは、比較的しっかりしている口蓋根の脱臼だろう。

ペリオトームで丁寧に歯根膜を歯根から剥がす。

そうして歯牙全体の脱臼を試みる。

最後はダイヤモンド患歯で抜歯した。

9分で抜歯ができた。

抜歯ができれば…

ここからは早い。

抜歯窩に落とし物がないか？Checkした。

問題はないので歯牙をメチレンブルーで染色した。

VRFは確認できなかった。

ということで、Root resectionへ移行する。

3mm切断する方法は、バーを定規にすることだ。

ものの長さを知ることは非常に重要である。

逆根管形成した。

逆根管充填した。

抜歯した歯のPAを撮影した。

問題はないと思われる。

抜歯窩へ再植した。

5分後にPA, CBCTを撮影した。

MB

DB

P

問題がないことがわかる。

次回は1ヶ月後であった。

#14 Intentional Replantation 1M recall（2024.5.30）

歯牙は2週間で動きがなくなったとのことだった。

安定している。

かかりつけ医にはプロビジョナルレストレーションの装着を依頼した。

そして、この1ヶ月後にもお越しいただいた。

#14 Intentional Replantation 2M recall（2024.6.27）

検査は全て陰性であった。

PA, CBCTは以下である。

MB

DB

P

画像的にはそれほど違いはでていない。

それは2ヶ月しか経過していないからだ。

次回は10ヶ月後の2025.5である。

それで1年だ。

またその予後をご紹介したい。