紹介患者さんの治療。

主訴は、

左上の奥歯が腫れた。出血も時々ある。他院では抜歯と言われた…

である。

☆この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

歯内療法学的検査(2024.5.30)

打診痛と咬合痛がある。

また、#16が存在する。

#15にVRFがあれば、#16を#15へ自家歯牙移植もできる。

が、まずは#15の精査だ。

PA(2024.5.30)

メタルポストコアがP, MBに挿入してある。

その理由は私にはわからない。

そしてPの根尖部には大きな病変が見える。

そして太い根管形成。

これでは…再根管治療は無理だ。

ということは、

Intentional Replantation一択になる

のだが、

#16が#15を脱臼するのに邪魔だ。

が、

#15がVRF等があれば、#16を#15へ移植できる。

まさに…

痛し痒し

と言った治療内容である。

が、

#15を除冠し、レジンコアの状況にすれば隙間ができて脱臼しやすくなるかもしれない。

と言うことを思いながら、CTも撮影した。

CBCT(2024.6.20)

MB

MBの病変は上顎洞まで抜けている。

歯性上顎洞炎というやつだ。

MBにはメタルポストコアが挿入されている。

DB

DBにもメタルポストコアが挿入されている。

そして大きな病変。

ここももう直ぐ上顎洞に交通しそうだ。

P

PはMBとつながっているが、ここにも太いメタルポストコアが挿入されている。

そして太い根管形成・根管充填。

こう言う患者さんを…

私はかつて覚えている。

以下だ。

#15 Intentional Replantation〜3根独立した歯牙の治療

いずれにしても、

除冠し、

徐メタルポストコアし、

健全歯質の量を確認し、

健全歯質が多ければその日にIntentional Replantationが可能であるが、そうでもなければ別日に行うか、単純抜歯してGBRするか?のどちらかだ。

それは治療をしてみないとわからない。

が、一つわかることがある。

この状況で#15を抜歯するとほぼ全ての歯槽骨は喪失するだろう。そこにどうやってImplantを入れるのか?私には理解に苦しむ。

どれだけGBRしなければならないのか?と言う話である。

こうやって…

患者は日本の歯科界から離れていくのだろう。

そこに希望や未来はあるのか?と思いたくなる。

が、これが現実だ。

歯内療法学的診断(2024.6.20)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Core build up→Intentional Replantation

と言うことで同日に治療は行われた。

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#15 Core build up→Intentional Replantation(2024.6.20)

メタルクラウンを除去したが…

まさに親知らずのような#15(左上7番)だ。

非常に治療がしずらい。

が、コア除去中に#15のMobilityを感じたので、これは歯質がなくても抜歯しやすいのではないか?!と悟ったのだった。

ということで、脱臼させてIntentional Replantationを行う。

が、奥すぎて脱臼させるポイント(近心頬側の歯根膜)にラクセーターが入っていかない。

歯牙の全周をペリオトームで歯根膜を切断し、ダイヤモンド鉗子で掴んで再植する方法に切り替えた。

そして歯牙を抜歯して、ここからは口腔外の作業になる。

PAを撮影した。

問題はないだろう。

この後、口腔外で築造を研磨して再植した。

5分ガーゼを咬合させて歯牙をCheckした。

動揺はない。

こんなことをして歯が取れないのか?と言う質問をしてくる人がいる。

取れるわけがない。

なぜか?

アンダーカットを越えて(脱臼させて)抜歯しているのでその可能性はない。

患者さんが自分で歯を引きちぎろうとしなければ、だ。

治療後にPA, CBCTを撮影した。

MB

DB

P

術前のCBCTからはMBとPがつながっていたが、Apexから3mmの時点ではそれはなかったので、それぞれが独立した形状になっていた。

次回は1ヶ月後である。

またその模様をお伝えしたい。