紹介患者さんの治療。

主訴は

前歯の歯茎の腫れと痛みがあり、食事時に常に気になる

であった。

歯内療法学的検査(2024.11.6)

#8 Cold N/A, Perc.(-), BT(-), Palp.(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#9 Cold N/A, Perc.(-), BT(-), Palp.(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

主訴は圧痛とSinus tractのある#9だ。

PA(2024.11.6)

#9には大きな病変がある。

CBCT(2024.11.6)

頬側の皮質骨がない。

このことが圧痛に対する臨床症状を呈してる原因になっているのだろう。

が、

#9の頬側に皮質骨は存在する。

このことは、Submarginal Flap可能であることを示している。

つまり、術野を小さくできる。

が、

それと引き換えに

術後に瘢痕が歯肉に出てしまう可能性

がある。

それが嫌なら、#7,8,9,10,11の広い術野を伴うPapilla Base Incision+30分で切れる上顎前歯の麻酔を取るか?

だが、効果的に短時間で瘢痕がたとえ出ても, 術野を狭くする方を選択した。

もちろん、同意が必要なのは言うまでもない。

さて、実際の手術のシミュレーションだが、

ApexはCEJよりも14mm上方にあるが、頬側皮質骨がないので容易にApexは発見できるだろう。

そして3mm切断するには、4.3mmの深さ掘らなければならないということも分かる。

この情報をユニット横に以下のように貼り付ける必要がある。

ということで、同日Apicoectomyとなった。

歯内療法学的診断(2024.11.6)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、VRFの有無に白黒つける(その可能性はほぼないであろうが)目的でまずはApicoectomyが行われた。

この後、別日に支台築造する流れで治療は進むことになった。

⭐︎この後、外科動画/画像が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#9 Apicoectomy(2024.11.6)

前述の通り、歯槽骨があるので術野が狭くて済むSubmarginal Flapを選択している。

#9のApexを発見し、Root resectionしたが、上記動画でわかるようにこの上顎前歯でも切り残しがある。

それを修正している。

前歯でもこのようにApicoectomyは難しい?のである。

上顎前歯ができなければ他部位のApicoectomyは不可能だろう。

このことからも、やはり術前にこうしたデータを作成しユニット近傍に情報を開示し確認できるようにしておかなければならない。

切り残しを綺麗に切断し直し、逆根管形成、逆根管充填した。

逆根管充填には、

ペントロンジャパンの

エンドセムMTA クイックペーストR

を使用している。

術後にPA, CBCTを撮影した。

問題はないと思われる。

縫合して終了した。

次回は支台築造して1年後である。

また経過を報告したい。