紹介患者さんの治療。

主訴は

歯茎が腫れてものが噛めなかった…

であった。

歯内療法学的検査(2024.10.25)

#2 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold NR/20, Perc.(+), Palp.(++), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

主訴はSinus tractがある#3だ。

⭐︎この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

PA(2024.10.25)

MBに根尖病変と思しき透過像がある。

また、歯牙にはパラレルなポストコアが口蓋根に挿入されているメタルポストコアも装着されている。

除去には時間がかかるかもしれない。

CBCT(2024.10.25)

MB

DB

P

MBには病変がある。

拡大すると、

CEJからApexまでは6.5mmである。

ここで臨床家なら違和感を覚えなければならない。

なぜか?

日本人の平均的な歯根の長さは

藤田(1949)によれば上顎第1大臼歯は12.0mmである

からだ。

こういう場合は反対側同名歯を精査したほうがいい。

#14を見てみた。

#14のMBは12mmである。

このことから、

#3のMBは5mm外部吸収で消失したと考えるのが自然である

ということがわかるし、

#3 MBのRoot resectionの必要性は平らにするくらいで過剰な歯根端切除ははほぼ必要ない

ということもわかる。

こんなことがPAでわかるだろうか?

私にはわからない。

歯内療法学的診断(2024.10.25)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy→Core build up

ということで治療は再根管治療ではなく、歯根端切除術一択だ。

そこでVRFの有無をチェックし、問題がなければその後歯肉が治癒したのちにCore build upである。

同日、治療が行われた。

⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#3 Apicoectomy(2024.10.25)

Apexを平坦にした後、その観察、逆根管形成へ移行する。

術後にPA, CBCTを撮影した。

問題はないと思われる。

縫合して終了した。

この2ヶ月後に築造が行われた。

ということで次回は今年の10月である。

またその模様をお伝えしたい。