先日の治療の経過観察。
#6,8,10の鈍い痛み。特に疲れている時に痛む…7年前の外科的歯内療法の欠点は?〜#6,8,10 Apicoectomy
治療から5年が経過していた。
#6,8,10 Apicoectomy 5yr recall(2023.9.29)
#8には圧痛があった。
術前にはなかったのに、だ。
それ以外の歯牙(#6,10)は問題がないそうだ。
PA(2023.9.29)
#6,10はよく治癒しているように見える。検査でも陰性だ。
CTも撮影した。
CBCT(2023.9.28)
#6
#10
#6,10はよく治癒している。
頬側の皮質骨ごと再生している。
これも再生療法と言えるだろう。
が、懸案の#8だが、
#8
全く治癒していない。
なぜだろうか?
同じ90%の成功が担保されるApicoectomyをしているのに、だ。
ここからは考察が必要だ。
Apicoectomyが失敗する要因は以下だ。
①歯根の切断不足
②MTAセメントの硬化不全
③Racelletの置き忘れ
④逆根管形成の不備
歯根は切断不足か?といえば反対側同名歯と比べても問題はないだろう。
が、側枝の分布は
である。
もっと切断すべきだろうか?
ここは悩ましいところである。
が、まずその他にできることをしてから考察すべきだろう。
次にRacelletの置き忘れであるが、これは十二分に有り得るだろう。あの怪しいApicoectomyだからだ。
しかし、RacelletはPAでもCBCTでも映らない。
つまりこのRe-Apicoectomyでは、肉芽を完全に掻爬し直す必要が出てくる。
これには時間がかかるだろう。
その後、逆根管形成し、Retroprep内部を精査しGuuta Percha Pointが残存していないか?精査も必要だ。
以上のことから、
やり直しの外科治療の方が時間がかかる
ということがわかる。
歯内療法学的診断(2023.9.28)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx:Re-Apicoectomy
ということで、同日治療は行われた。
⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#8 Re-Apicoectomy(2023.9.28)
私は、Racelletを置き忘れていたようだ…。
全く情けない…患者さんには申し訳ない気持ちでいっぱいである。
再根管形成するが…
逆根管形成窩洞からGutta Percha Pointが飛び出ている。
このことは、
MTAの裏側にGutta Percha Pointが残存していて、これも治癒不全の原因の一つと考えられる。
再逆根管充填してPAを撮影した。
また、術後にCBCTは撮影していなかった。
これは、大きなミステイクだ。
撮影していなければどれほど治癒したか?がわからないからである。
さておき、縫合してこの日は終了した。
ということで、次回はこの反省だらけの治療の予後をご説明したいと思う。