小児の患者さんの経過観察。
初診時は2018.7.13だ。
今日のブログでは私のこの治療に対する考え方を述べたいと思う。
今日のブログは歯科医師向けというよりは、そうした治療でお困りの患者さんのための記事かもしれない。
少し、粗い説明になるが以下がその流れである。
患者さんは当時、7歳だった。
上顎正中部分に過剰歯があったようだ。その抜歯で某医療機関に紹介されていた。
詳細は以下である。
#9の真裏に過剰歯があるのがわかる。
ここの抜歯でその医療機関を紹介されたのである。
その後、抜歯は問題なく行われたが
その後に外傷を起こしてしまう。
この後、根管治療が行われる。
そして固定も除去された。
そこから時間が経過して以下である。
ここで患者さんのお母さんが、
根管治療でなくて、歯髄は再生できないのだろうか?という疑問を持った
のである。
そこでネットで調べると当時の博多駅東のまつうら歯科医院が出てきたのでその医療機関から紹介となった。
歯内療法学的検査(2018.7.13)
ここで不思議な項目を見ることができる。
そう。
根管治療をして歯髄まで取り去った!という写真が掲載されていた
#8がCold testに反応している。
Cold+5/1
である。
つまりこれは、
Cold testして5秒で反応が出てその痛みが1秒持続したという意味である。
あなたはこれに対してどう思うだろうか?
私には、
これが偽陽性にしか思えない。
その心は…
子供はCold testに対しては全て手が上がるだろう
という意味である。
が、奇跡的に?Aδ繊維が残存していたのかもしれない。
いずれにしてもそれは神のみぞ知るだが、非常に胡散臭い内容だ。
この点からも、RegenerationのAAEのGuidelineである、
Tertiary goalなどあり得るはずもない
ということがわかるだろう。
そんなことは…まやかしだ。
歯髄が再生するなどということはあり得ない。
あり得るなら、その方が世界の歯科医療全てを担うべきだろう。
私の歯科医院にそうした技術や臨床力はないのでできない。
PA, CBCTは以下だ。
#8は陥入して外部吸収が起きている。
歯根の長さは#8,9ではあまり変わらない感じだ。
ということで、治療へ移行した。
Regenerationは以下のようにして行われる。
根未完成の幼若永久歯がその適応症だ。
そして、2回法で行われる。
1回目のアポでは、
20mlの1.5~3%のヒポクロ 20mlと、20mlのEDTAで洗浄する。
その後、ペーパーポイントで乾燥し、水酸化カルシウムを貼薬する。
その後、仮封して1~4週間後に2回目が行われる。
スキャンドネストで麻酔して、20mlのEDTAで根管洗浄し、ファイルや短針を根尖から突き出して出血を起こし根管内部に貯蔵する。
血液は硬化するので硬化後に、血液の上に吸収性の材料を置いてその上にMTA, Biodentine, BC puttyなどを設置し、レジンまたはレジン強化型グラスアイオノマーで修復する。
その後、経過を見ていくが、
これは先ほど述べた通りだ。
ということで同日に治療へ移行した。
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#8 Regeneration 1st. visit(2018.7.13)
洗浄後に水酸化カルシウムを貼薬する。
1ヶ月後に2回目が行われた。
#8 Regeneration 2nd. visit(2018.8.2)
まずEDTAで洗浄した。
その効果は象牙質からの成長因子の誘導だ。
その後、血液を根管へ誘導した。
Bleedingさせて根管内部までそれを誘導する。
その上にコラプラグを置いてBiodentineで充填し、光硬化型グラスアイオノマーで充填した。
#8 Regeneration 6M recall (2019.2.23)
さて、この数週間後私が倒れ、患者さんは成長し、中学3年生になり、連絡が途絶えていたが、
この度なんと7年ぶりに経過観察に来ていただけた。
#8 Regeneration 7yr recall(2025.4.14)
#8 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
初診時の打診痛と咬合痛は消失した。
そして、
やはり、Cold testには無反応であった。
☆この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
根尖病変は消失した。
ただ切端咬合なので、ここは矯正治療が必要だろう。
初診時と比べてみた。
アンキローシス初見もなく、根尖病変も消失している。
ということでこの日で終診とさせていただいた。
長い間、お疲れ様でした。そしてわざわざ、ありがとうございます。
いつまでもお元気で。
が、いずれにしても
この再生療法で歯髄、象牙質は再生しないと私は考えている。
ということで、後日、この治療に対する私の“現状の考え”を述べたいと思う。