紹介先の患者さんの治療。
主訴は、
右下奥歯、被せた歯が腫れた…
である。
⭐︎この後、検査動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
歯内療法学的検査(2024.12.5)
患歯はSinus tractがある#30のようだ。
PA(2024.12.5)
#30 Mの根尖部に病変がある。これが主訴の原因だろう。
CBCT(2024.12.5)
#30 MB
#30 ML
#30 D
#30 Radix
除冠を患者さんは望まないので、Apicoectomy一択となった。
分析すると以下だ。
#30 MのApexはCEJから12.7mm下方にある。
そこを3mmで切断すると、
頬舌的に7mm切断する必要がある。
やや長い。
そして右下だ。
なぜ右下が難しいか?と言えば、私が右利きだからである。
日本語にして言えば、45度のタービンと口唇が被るからだ。
邪魔なのである。
従って、これが左利きの人なら左下6 が最高に難しくなる。
なのでエンドの外科では両手を使えると最強だろう。
が、今からそのような鍛錬をするわけにも行かないのでスタッフ総出で治療に携わらなければならない。
歯内療法学的診断(2024.12.5)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Apicoectomy
ということで、別日に治療は行われた。
⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#30 M Apicoectomy(2025.4.3)
肉芽が邪魔で歯根が確認できない。
少しApexの近傍を削除してみた。
Apexが顔を出した。
ここを3mm切断していく。
右下臼歯がApicoectomyが難しいと言われる所以がここにある。
バーを設置しにくいのだ。
口角を巻き込みそうになる。
切断したApexに付着している白い固形物はプラークだ。
その近傍には歯石も見える。
Sinus tractの存在がこのような臨床所見を惹起させる。
切断がきちんとできたのか?確認するために、骨窩洞内を掻爬した。
私は思うに、掻爬のタイミングは、もしそれをするならRoot resectionの次の段階だろうと思う。
理由は、
本当にきちんと3mm、問題なく切断できたかどうか?を判断するには、掻爬しないと判断がしにくいから
である。
ここで本当に問題なく切断できたか?を
Racellet, メチレンブルーを使用して確認していく。
この動画の途中で、
患者さんの頭の位置とマイクロスコープの角度を変更している。
すると、切断したApex部分が直視で確認できることがわかる。
欲を言えば、骨窩洞の近心速をもう少し落とすべきだっただろう。
ということで、逆根管形成へ移行した。
この時も臨床的なコツがある。
それは、
Advanced Course 2025
で説明します。
しかしRetroprepとは、つくづくGutta Percha Pointの残渣との戦いであると私は思わずにはいられない。
それがなければいかにRetroprepしやすいか。。。
ということで、最後に逆根管充填した。
逆根管充填の後に、Root resection時の切り残し(アゴの部分)を切断している。
理由は、止血を妨げられたくないからである。
これも臨床上の一つのコツなのかもしれない。
PA, CBCTを撮影した。
問題はないと思われる。
最後に縫合して終了した。
この1週間後に抜糸に来られた。
以下である。
ということで次回は1年後だ。
またこの治療の予後をご報告したい。