11/2,3はまつうら歯科医院でマイクロRe-RCT マンツーマンコースが行われた。

初日は講義である。
再根管治療の成功率

Selective Root Canal Retreatment





再根管治療の生存率




その後が再根管治療の臨床的なテクニックについて講義した。

明くる、日曜日にマイクロRe-RCTの実習が行われるのだが…

この2日目の私の最大の収穫は、
視度調整しても見えない(二つに見える状態が続く)こと(人)が世の中にはいる
という臨床的事実だ。

マイクロを調整すると上下の視野は合うのだが、瞳孔間距離が何度調整しても合わない。
マイクロスコープの業者の方に聞くと、
過去にセミナーをやってそういう方がいたそうだ。
専門的に言えば、
日本人の瞳孔間距離の平均は男性約64ミリ、女性約62ミリといわれている
ので、
それよりも瞳孔間距離が狭い先生はマイクロスコープが使用できない
のである。
事実、瞳孔間距離が55mm以下のマイクロスコープはこの世にはないそうだ。
事実この日受講された先生も、
メガネを作成するがどこで作成しても合わず、中洲のツァイスのビジョンセンターで40万かけて特殊メガネを作成したという。
それでものの見え方が全く変わっとという。
つまり、
マイクロスコープは万人向けではないということがこの日初めて分かった。
ということは、瞳孔間距離が狭い先生はマイクロスコープを諦めないといけないということを意味する。
エンドの大学院へ行きたい先生には重要なチェック項目だろう。
話を戻そう。
実習はまずメタルポストコアを外していただいた。
その際に必要な手技を直接お伝えした。
ポイントはやはり道具と考え方だろう。


すると、いとも簡単にメタルポストコアが次々脱離されていく。
今までの人生でそのようなことがなかったそうだ。
次がC-solutionによるGutta Percha Point除去である。
C-solutionの臨床的性質
①クロロホルムは根管充填溶解剤の中で最も溶解能力が優れている
→Tamse 1986 Gutta-percha solvents–a comparative study
②クロロホルムのみがGutta Percha Pointを全て溶解できる
→Kaplowitz 1990 Evaluation of Gutta-percha solvents
③催奇性や発がん性もない
→クロロホルム(環境庁)
④根尖から逸出してもその量は極微量で健康害もない
→Chutich 1998 Risk assessment of the toxicity of solvents of gutta-percha used in endodontic retreatment
⑤治療中にそれを吸っても人体に毒性が発揮できる量を超えない
→Mcdonald 1992 Chloroform in the endodontic operatory
⑥大腸菌を優位に殺してくれる
→Edgar 2006 The antimicrobial effect of chloroform on Enterococcus faecalis after gutta-percha removal
作業長を測定し、最後に再根管形成した。
その際のポイントはどこまでNi-Ti File(HyFlex EDM #25.V)が入るか?だ。
ラバーストップからReference Pointまでの距離で形成量が決まる。
その際、根尖部3mmの根管の不確実性を考慮するのであれば、

3mm以上削れる余地が残っているのであれば、#40.04が終着点でいいだろう。
が、それ以下であればHyFlex EDM #60.02かProTaper Gold F5まで形成サイズを上げるべきだろう。
それを判断する大元になるのはCBCTの分析と正しい状況の把握だ。
それにより、
HyFlex EDM #40.04で終了するか、HyFlex EDM #60.02(もしくはProTaper Gold F5)まで形成すべきか?決めれるのである。
再根管充填し、PAを撮影した。

問題はないだろう。
次が以下である。

P根は根管がうっすら見えているが穿通しなかった。
MB,DBはC+ Fileを使用しても穿通せず、HyFlex EDM #10.05, RaCe EVO #10.04,#10.02を使用しても穿通しなかった。
つまり、閉鎖根管である。
術後のPAは以下だ。

ということで1日はあっという間に終了した。
自院に持ち帰って練習すれば必ず自分のものになります。
が、これでもうまくいかなければ、ApicoectomyやIntentional Replantationが必要になることも同時に伝えた。
まあしかし、まずはこの手法を身につけることが先なのでそこを鍛錬すべきだろう。
2日間、お疲れ様でした。