先日は上顎第2大臼歯のMB2に対する対応方法を記事にした。
今日はこれが上顎第1大臼歯の場合はどうか?をケースを交えて解説したい。
文献的には、
上顎第1大臼歯の場合MB2のある可能性は、
Stropko 1999 Canal morphology of maxillary molars: clinical observations of canal configurations
によれば90%である。
近年のCBCT研究では、
For maxillary first molars, CBCT studies consistently show a high prevalence of MB2 canals.
Typical CBCT prevalence: ~60% → 80%
Most accepted pooled estimate: ~≈70%
Range across populations: ~50% → 90%
Clinical translation:
About 2 out of 3 upper first molars will have an MB2 canal detectable on CBCT before RCT.
3分の2、つまり67%くらいだ。
以下のような患者さんが来られた。
主訴は、
他院で根管治療が必要だと診断されたがその治療内容に納得がいかなかったので受診しました
である。
何が納得できなかったか?というと、
現在通っている歯医者(東京)で根幹治療と言われました。
通院治療が始まり3回行きましたが今後どんなふうに治療してもらえるのかちゃんとした説明がなく次回診療までに間を空けないで来るようにとだけは言われとても不安になりました。
最初回数を聞いたところ5回から6回で終わると言われました。
どうも治療時間が短いし, おかしいなと思い先日行った時, 意を決してもう一度回数を尋ねたところ15、6回と言われびっくりしました。
保険診療なのだとわかりました。
ネットで調べたところ今神経を探しているところに該当するようです。
レントゲンで神経を見ました。
レントゲンには注意をしずっと避けてきましたが歯医者では仕方がないと撮りましたがこのままいつ何回撮られるかもわからず通院するのはやめたいです。
である。
患者さんにいただいたレントゲンは以下である。

これでは根管治療は5~6回では終わらないだろう。
Pre-op Endo test(2026.4.2)



このPA2枚でみても、東京の歯科医院の担当者は根管口さえ発見していないという臨床的事実がわかる。
患者に聞けば、
東京のその歯科医院ではラバーダムもマイクロスコープも使用されたことがない
という。
それが標準的な根管治療だろうか?
だが、私はUSC時代に1回法で根管治療が終わらなかった際に治療の内容説明をFacultyにして認証をスワイプで得なければならなかった。
その際、治療が終了しない場合に、
Facultyから(特にDr.Schechterからw)、
毎度、ひどく詰問された(日本に戻ってお前は患者に今、俺にした言い訳をするのか?というやつだ)のを思い出す。
アメリカではそれでは飯は食えない。
しかし、ここは架空の国、Japanだから仕方がないのかもしれない。
ちなみに、1回で終了させても、2回以上かけても成功率は変わらないのである。

これが上記の詰問の根拠だ。
何のことか、
???
なあなた、
Basic Course 2026
の次回、5月にこの話は詳しくしていきます。
CBCTも撮影した。
これは歯内療法ではマストの医療行為である、と私からは告げておこう。
その理由もBasic Course 2026で扱います。
#14
MB

MB2

DB

P

B


ヨシダ社のパノラマと前述のパノラマを比較してほしい。話にならないくらい、どちらが優れた画質であるか?ということを。
CBCTによれば、#13は#14よりも大きな根尖病変がある。
ここも治療が必要だろう。
Pulp Dx: Previously initiated therapy
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recomended Tx: Re-RCT
では、#13,14ともに再根管治療が必要な治療とわかるのだが、その成功率はどれくらいか?と言えば

#13, #14は
穿通できれば86%
穿通できなければ60%
である。
60%になると患者のテンションは下がる?が、
私にはこれがそれほど低い数字とも思えない。
理由は以下だ。
術前に不適合な保険のInlayが装着されていることからも、たとえ穿通しなくても治癒する可能性が60%もある〜#2 Re-RCTと6M Recall
ということで、主訴の#14から再根管治療を行い、残された時間で#13を行うことになった。
その際は、
MB1

MB2

CBCTを使用すると、MB1, MB2ともに穿通させる必要があることがわかる。
また、CBCTを使用すれば、おおよその作業長も類推できる。
が、いずれにしてもこの治療での最大のポイントになるのはMB2がどこにあるか?である。
CBCTで探索するには以下のようにして行う。
今日はそのコツも伝えよう。
根管口よりもこのように下の部分で画像を切ることが必要だ。

すると…


MB1よりも口蓋方向に1.7mmの位置にMB2の根管口があることが予想できる。
さあ、私は無事MB2を見つけて、1回法で再根管治療を終了させることができるのだろうか?
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#14 Re-RCT(2026.4.2)
チャンバーオープンが未完成である。
以下のように修正した。

MB1がC File #6で穿通し、RIL=16.0mmであったが、
根管の石灰化が強く、
ApexからC Fileが全く出ないたためグライドパスをせねばならなくなり、#10.05を使用して#40.04まで形成した。
その後、MB2が存在すると思しき部位を超音波で形成し、
短針でSXが破折しないようにDo Well Dentalの短針でスカウティングし、

SXで形成した。
その後、MB1に当該Gutta Percha Pointを挿入し、合流していない(Gutta Percha Pointに傷がついていない)ことを確認して根管形成した。
術後のMB1とMB2は以下だ。
MB1

MB2

MB1は穿通しなかったがMB2は穿通した。
これでMB根尖部の病変が治癒するか?は謎だが、やれることはやったという感じである。
ちなみに#13は、

Pre-op

Post-op

ということで、術後のPAは以下だ。


外部へBC sealerが溢出したが、
文献的には押し出されたそれは、
で、問題はないと考える。
当歯科医院のケースでもそれが最終的には臨床上は消失しているように見えて症状も消失していることが確認されているので問題視してない。
ということで、回りくどくなったが今回は上顎第1大臼歯のMB2について解説した。
