バイト先での治療。
患者さんは30代女性。
左下の7番が主訴で初診時は咬合痛が激しかった。
かつてこの歯科医院で2度の再根管治療を行なっている。
したがって保存するのであればIntentional Replantationしかないという状態での治療である。
歯内療法学的診査は以下のようになった。(2019.12.24)
#18 Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#19 Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAと口腔内写真(珍しい!)は以下になる。
PAはこの歯科医院はというか、この歯科医院に限らず1枚しか撮影しない。
世の中、CBCTに走るのは構わないが、私はそれよりも前にもっとやることがあるんじゃないのか?といつも思う。
まあそれはさておき治療としてはIntentional Replantationを行わざるを得ない。
歯内療法学的診断は以下になる。
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Intentional Replantation
ということで治療が行われた。(2020.2.25)
治療前にラバーダムを行い、支台築造を行なったが…クリアランスがほとんどなくまたIntentional Replantation中に(歯牙を脱臼中に)このレジンコアは見事に脱離した。
残根になってしまったので慎重に抜歯を行なった。
3mmで切断した。
長さはもちろん測っていない。
長さを測らなくても3mm切断する方法があるからだ。
わからない先生は、2022年のAdvanced Courseに出るしかないだろう。
それはさておき、切断面は以下のようになったと見せたかったが顕微鏡から見切れていた…これがZwissなら真ん中がわかるシールを貼ってくれるのだが、モリタにはそのサービスはないようだ。
BC puttyで逆根管充填した。
抜歯窩へと戻し、Ca(OH)₂を置いてGlass Ionomerで仮封した。
PAは以下になる。
3ヶ月時間が経過した。(2020.5.25)
仮封がGIのままだ。
論文では1ヶ月しか持たないと言われているが、臨床では3ヶ月も持っている。
歯牙の動揺、痛みなど全く消失した。
樋状根なのにだ。
さて、術後4ヶ月目でようやくメタルポストコアが装着された。(2020.6.22)
そしてFinal Crownも装着された。術後4ヶ月経過している。(2020.6.30)
さてここから時間がさらに半年経過し、術後1年半が経過した。
その際のPAが以下になる。(2021.8.24)
問題なく過ごせている。
そして患者さんはこれで一生過ごせるわけでないということも理解している。
ここが重要である。
なぜ世の中、高級外車やアクセサリーには惜しみなくお金を使うのに歯には使わないのだろうか?
それは歯に対して爪ほどの価値もないと思われているからだろう。
その価値観を上げていくのも下げていくのも、我々歯科医療従事者の努力かもしれない。
ということで経過観察は終了した。
次回はさらに半年後である。
半年後にもこの歯が機能していることを私は願っている。
その際はCBCTも撮影して術前と術後を比較してみようと思う。